閑話4

なんだ?、この歳になって自分とはと自問自答でもするのかと己の面倒くささにすこしあきれる。
いい歳してるくせにいい加減やめろとも。ああ、この考えがよぎるのが面倒だ。先程まで何だ、あのクソ鬼畜早く消えろと思ってたカリグラの器からの嫌味が有難いことにそらしてくれてたのだときづく。
「とりあえず持っていくか…」ラディの父親が言って用意した、経口補水液と切ったリンゴとすったものといちごをのせて部屋へと運んだ。
ーーー
「…お母さん…」ラディはその頃部屋で首にかけた青い宝石のペンダントを眺めてた。母が幼い頃くれたお守り…、娘の幸せを願って作ったもの。
「私、多分お母さんの初恋の人に会ったよ…」カリグラを見た時ハッとした、母が父に重ねていた人物。そして、母が初めて恋をした相手。
雰囲気は父より大人で余裕のある人だった、ああ母の理想の恋人にピッタリだろうなと。いわゆる女の勘だ、でも…母は父を選んだ。父とおそらく最高の恋をして、最低な別れ方をさせられた。
「……なんか、お母さんのこともっとしれた気がするよ。」強く、大人な母もかつては恋する女だったのだと。そして彼、カリグラは未だ母のことを愛しているのだと。彼は私を通して母を見てたから。
そういえば、どこかで聞いたな…鏡を見てると自分の親を見たような気持ちになると。ちらり、と近くにある鏡を見る。
ああ、確かに……父の言う通りだ。
「私、お母さんに似てたんだね…」なんだか今やっと少し心が軽くなった気がする。
母譲りの赤い瞳は陽炎のように少し揺れ始めた。
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