閑話4

ただ、中にいる男は自分と同じ顔なのに…違う表情をしている。
ラディを見て、いますぐ抱きしめたい。今すぐ違うのだと言いたげに。子育てに思い悩む父親の顔だ、本当にこの娘を愛しているのだとわかるほどに。
『娘は俺の宝だ』そうずっといってくる、こいつのほうがくさいこというなと思うと睨まれたが。
「…お父さんが愛してくれていたのは分かっていますから。」その言葉に中のやつのテンションがうるさい…、今自分が変な行動すればラディがまた病む気がしてどうにかおさえる。
「(こいつ、本当にオレなのか?。あのカリグラの器ってほんとうか??、カリグラの方がダントツに大人だろ)…そうか。」とりあえず…、とラディの頭を撫でる。少しでも落ち着いて欲しいと願いながら。
「っちょっ、恥ずかしいですッ。それは」少し顔を赤らめてラディが訴えてくる、さすがに年頃の娘には恥ずかしかったのかもしれない。
「すまん、お前に落ち着いて貰えたらと思ってな。」
「いっ、いえ……!」そのときだ、ラディのお腹の音が鳴り響いたのは。
また顔を赤らめてごめんなさい、と言ってくるが食欲が出てくるのはいい証拠だ。それならば、とラディッツはベッドから立ち上がる。
「腹減ったのだろ?、少し待ってろ持ってきてやる。」あのカリグラの器に言われたものを持ってこよう、とへやからでた。
『…元気になったようで、良かった。』
「…(お前が最初からやればよかったがな!)」ああほんとに、こいつが死ななければよかったのではないか?とおもう。
だが…、この男は自分以上に死という運命が定められていたのだろう。
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