もう1人の器

「オーケー、わかったよ!。」返事をして光忠は長谷部を羽交い締めする。
主ィィ!、と長谷部が叫んでいる間に月鬼は逃げるように部屋を去った。

「あいつ、忠誠心はあるのはいいがもはやホモだぞ…!」ああ寒気がするな!!とほほを伝う汗を拭き取り歩いていると、前から少年が歩いてきた。月鬼は不機嫌に顔をしかめた。
「…兄ちゃん…!」月鬼と6つほど離れた弟の空夜である。
「なんだ、出来損ないの愚弟か。」空夜は月鬼より霊力が低い。しかし、当主に必要な力の基準は越していた。
でも月鬼には及ばなかった、才能もだ。だから月鬼は空夜を愚弟と呼んだ。
「…おれは兄ちゃんより弱いだけだよ。」
「ならば付喪神の顕現させてみろ。お前はできずに物を破壊しているだろ?。」はっ、と鼻で笑う。空夜は顕現させることが苦手なのか器や本体を霊力のそそぎすぎのせいで破壊させてしまうことがあった。幼いから、というのもある。だが月鬼の一族は遅くても7つのころには顕現の術はできていた。
空夜は9つ。顕現させてもほんとはおかしくないのだ。
「…っわかってるよ!!」涙を浮かべながら空夜は答える。
月鬼は同情はおろか軽蔑した色を浮かべて見下して言った。
「涙を浮かべる体力があるなら、とっとと修行に行け!。愚弟が‼。」そう言うと月鬼は空夜を通り越してその場を去った。ほんとにあの弟は存在が邪魔だ、自分と違い完全に光のものの弟が。
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