もう1人の器

「…では俺の指示はただひとつ。否だと答えておけ。」
「そっそれでは…!!」ドスッ!と、役人の左手ぎりぎりのところに短刀が刺さる。月鬼が投げつけたのだ。
「…従え、と言ったはずだが…?。まぁ気分がよければしてやるよ。安倍のどもには死ぬ気でやれと伝えておけ。」ぎろりと月鬼の夜の闇を宿す黒い瞳が殺す勢いで睨み付ける。
「あぁ、でもそうだなクビにされたら俺が拾ってやってもいいぜ?。褒美でな」そう告げると役人は急いで立ち上がり、頭を下げて走り出した。
「…主、あいつ生きて帰ると思いますか?」長谷部が月鬼に告げる。
月鬼は首をゴキゴキと鳴らしてさぁと言った。
「…なんせ崇徳院いや崇神魔縁は俺の師だ。どうなるだろうねぇ…それによぉ、




俺が一番怖いのはその師匠の子孫で次世代の白峰大明神が何をしでかすかなんだがな。」そう、月鬼の師は怨霊神だったのだ。故に封印をしたくなかった。もちろん、先程話した言葉も理由の1つではあるが。
「…あぁ、゛あの人″ね。人間の身でありながら怨霊神の力を使えるし何よりその政府と光言宗に家を滅ぼされかけたからどうだろ。」
「…竹藤重虎、いや崇徳 顕仁ですか。今頃殺されてるかもしれませんよ。」
「おれ、しーっらね!!。関係ないからな!?。シゲのバカがしたことだからな!」絶対にだ!!、と月鬼は叫ぶ。その言葉に光忠はため息を付くばかりだ。
「カッコ悪いよ、主。」
「燭台切!、今の主は子供のように可愛いだろ!!。」
「光忠、俺はお前と違ってそんなこと気にしないから。あと長谷部は仕置きだ。」
「折檻なら喜んで!!。」
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