比翼連理~第12章~

ラディはじっとお茶の用意をする男を見る、身長も大きく父と似た見た目をした男。
『本当の姿は、これじゃないんすよ?お嬢様』落ち着いた口調でそう話してくれるお人、父の持つ刀……付喪神であり第六天魔王と呼ばれる国重。
ラディは彼の優しい微笑みに惚れてしまった、胸がドキドキして仕方ない。これはなんだろうと思いながら国重のことを見つめる。
ことりっと国重は茶を注いでいた急須を置き、しゃがんでこちらを見てきた。
「ふふふっ、おやおや……ここに春の息吹を届けてくれるお姫様の気配がしますねぇ…ええお嬢」
「…くーに?」
「ええ、ええ。あなたのくにですよ、…共にお茶でもしますか?お嬢様」そういい国重は手を広げてくれる、ラディはそれにポッと頬を赤く染めて駆けつけた。
「くーにっ!」ラディは飛び出して国重に抱きつく、軽々と受け止められてラディ用の椅子に座らされた。
ラディは気づいた、国重の着物の下には無数の傷跡があることを。そして父にはない顔のひび割れたアザ…国重がラディように少しぬるめのお茶を用意していたところラディはきく。
「…くーに、かおいたいいたい?」
「はい?」国重はなんだとおもい、ラディに目線を合わせるとすっその小さいもみじのような手が頬に触れてくる。
暖かい…命の灯火の温度、国重はそれにハッとしながらもラディの赤い瞳を見つめ返した。
「いたい??」ああ、お嬢様…国重は息を飲み込んだ。この顔にあるアザはかつての主、そしてカリグラの朋であった織田信長を2度失った時に着いた魂の傷だ。どうしようもない、醜いもの…国重にとっては忌々しいものであった。
もう誰にも仕えない、織田信長しかと思いながら生きてきた証。だがひょんなことからあの追いかけてきた男カリグラの来世に仕えることになった。
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