我が王よ

ナエはそのご、立場を子供たちに譲りカリグラの宮殿近くに家を改めて建ててそこで妻とふたりで暮らした。
1/18になる度に、宮殿へといき毎日毎日花を添えてカリグラを弔った。
『てめえがナエか?』、目を閉じれば浮かぶは初めて会った時の風雲児の姿をしたカリグラの若い頃だ。あのころはなんて粗暴なやつと思っていたが、蓋を開ければちがった。
王の原石で惚れるしかないお人だった、王となってからは誰よりも現人神であり誰よりも皇帝だった。いつもいつも、毎日毎日忠誠を誓った。
『生涯あなたにしか仕えません』、ナエはその言葉の通り晩年誰にも従うことはなかった。
「…また、書かれてるのですか?」子どもたちにも新たに家族ができて、曾孫にも続こうとした時代。ナエはずっと、ずっと絵を描いていた。
少し震える右手でも紙へと向かえば不思議と収まったのだ。
「……当たり前だ、僕しか知らないカリグラ様の姿は残さなくてはならないからな」紙にあるのはかつて住まう宮殿で鳥を愛で、花をまとうカリグラの姿だった。
その顔はどこか優しく若い頃の粗暴さがなく、命を大事にする王の顔だった。
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