「そうね、私も長生きしてきてこんなことは初めてよ……生意気となら初めての育児も乗り越えれそうね」隣にぴとりとくっついてきて、優しく微笑む彼女の顔はかつてみた慈愛の笑みそのものだ。皇嵐を中心に過ごすようになってからあの変な頭痛もゆっくりとだが治まってきた。
Raが心配して様子を見に来たが、疲れが溜まっているから少し寝ることと自分たちのような人ならざるものがたくさんいるせいで力に当てられたのだと諭された。
『人ならざるもの…？、お前は違うのか』
『ええ、研究の果てにそうなってしまいましてねぇ。ま、おかげで楽しくやらせていただいてますよ』仮面下の表情はよく分からなかったが、自虐的な物言いにラディッツは言葉をどう伝えようかと初めて悩んだ。
何もお前のせいではないだろ、と強く伝えたくなって。
「……ねぇ、ラディッツ。生まれてくる子供の名前ってどうしようかかんがえてる？」そんなことを皇嵐の隣で考えていると、皇嵐が優しく小川のような声で聞いてくる。
名前…、そういえば考えてはいるがどうしようかとなり悩ませていたものだ。名付け…皇嵐と自分の初めての子供に。
「…悩みはするが、お前は…？。なにか考えてるのか？？」
「そうね、色々とあるけれど……あなたがこれから家族を持つのだからあなたに決めて欲しいのラディッツ」
「俺に…？」
「ええ、生を紡ぐという大事なものを知って欲しいのよ」名前とは大事なもの、と皇嵐は語る。名を与え、命は初めて役目というものを得ると。
破壊や戦闘を行うラディッツだからこそ、反対のもの生を紡ぐということを知って欲しいと。俺が命を生を……、こんな自分が？という気持ちと相変わらず変わらないなお前はという愛おしくもくすぐったい気持ちが溢れてくる。