万物の神をも恐れさせるもの

擂牙はコツ、コツと音を鳴らして廊下を歩いていく。
あの男…カリグラ、阿嵐の弟の血を誰よりも濃く受け継いでいた。だが、それでは納得できないほどの実力……そして悪魔への耐性があった。
「気に食わん…」皇嵐の心を奪い、離さないあの男を。顔を顰めて歩く、たかだかサイヤ人が皇嵐の気持ちを持っていくだなんて。
ふと目の前を見ると金髪と碧瞳を持つ男が歩いてくる。
「…ガイウス…」目の前にいる男は…あのカリグラの親友だった男だ。
「久しいなぁ、擂牙よ。」ふっ、と笑い男は話しかけてくる。何が擂牙だ気に食わん。
かつては人間であった男が、気まぐれに気にいられ黒王の側近にまでなったのだから。はるかに自分より下のくせに。
「また黒王様の気まぐれに振り回されたか?。」
「…黙れ、お前の方こそココ最近よく下界に行ってるらしいではないか。」何をしている、と擂牙はガイウスにとう。
ガイウスの方は肩を竦めて散歩だが?、と答えてくる。
「何をそんなに疑う?」
「きさまが、あのカリグラの親友だからな。」びがっ!!!、と雷鳴が鳴り響く。まるでふたりの衝突を伝えるようで、辺りに冷たい空気が漂い始めた。
「ふふふっ…、それか。なるほどな、たしかにカリグラは余のアミーコ(親友)だ。」
「…それを殺した男によっていま余は生きてるから皮肉な話よな。」ほんに、皮肉よなとどろっとした瞳を擂牙へとむける。
「おおかた、ラディッツの監視でも命令されたのだろ。擂牙よ。」
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