比翼連理~第2章~
「……」
「主、報告があります。主!!」長谷部は黒い表紙の本を開き顔に被せている月鬼へと声をかける。
全くビクともしない月鬼に不思議がりながら恐る恐る本へと手をかけようとすると、起きていると月鬼の低い声がかえってきた。
「…ったく、こちとらじじいの記憶まで入ったから整理するのに時間かかってんだよ。で、なんだ?」本人が作った空間のせいか、月鬼は己がよく知るとおりというか相変わらずの乱暴な口調だ。
「…地獄の君、のですか?」
「ああクソジジイカリグラのな。…この世界に来てから思い出すことが増えたり、色々とだりいんだよ」疲れたと言いたげなため息、顔はスッキリしてそうだがよく見れば瞳は疲労の色が伺える。
この世界は月鬼の故郷ではない、だが魂のカリグラの故郷のとこではある。長谷部も国重から話を聞き、そこは理解していた。ここが主君の魂がかえるところだと。だが主君である月鬼はここに来てから疲れるというか…あまり喜ばしくなさそうなのだ。
「ですが、この世界は主の本当のですよね…?」
「……まあな、ろくな思い出がねえんだよ。…"皇嵐以外のな"」ふと最後の言葉が主君である彼が言うようにも思えたが、なぜか二重に聞こえた…そう彼の中にいる男が呟いたかのように。
「…廃れた星に、砂漠みてえな空気……風がふぶけば砂が口に入る。ろくでもねえ故郷の星のこと思い出しちまったよ」語る言葉はあの日本にいた頃のでは無い、おそらくカリグラの故郷のことだろうと長谷部は察する。
語る本人はまるでその場に今いるかのように語るから、長谷部も割り込めずタダ黙って聞いた。
「だから、滅ぼすしかねえと思った。このモノクロの星を……ったくいけねえなぼんやりしてっとあいつの記憶に引きずり込まれちまう」
「主、報告があります。主!!」長谷部は黒い表紙の本を開き顔に被せている月鬼へと声をかける。
全くビクともしない月鬼に不思議がりながら恐る恐る本へと手をかけようとすると、起きていると月鬼の低い声がかえってきた。
「…ったく、こちとらじじいの記憶まで入ったから整理するのに時間かかってんだよ。で、なんだ?」本人が作った空間のせいか、月鬼は己がよく知るとおりというか相変わらずの乱暴な口調だ。
「…地獄の君、のですか?」
「ああクソジジイカリグラのな。…この世界に来てから思い出すことが増えたり、色々とだりいんだよ」疲れたと言いたげなため息、顔はスッキリしてそうだがよく見れば瞳は疲労の色が伺える。
この世界は月鬼の故郷ではない、だが魂のカリグラの故郷のとこではある。長谷部も国重から話を聞き、そこは理解していた。ここが主君の魂がかえるところだと。だが主君である月鬼はここに来てから疲れるというか…あまり喜ばしくなさそうなのだ。
「ですが、この世界は主の本当のですよね…?」
「……まあな、ろくな思い出がねえんだよ。…"皇嵐以外のな"」ふと最後の言葉が主君である彼が言うようにも思えたが、なぜか二重に聞こえた…そう彼の中にいる男が呟いたかのように。
「…廃れた星に、砂漠みてえな空気……風がふぶけば砂が口に入る。ろくでもねえ故郷の星のこと思い出しちまったよ」語る言葉はあの日本にいた頃のでは無い、おそらくカリグラの故郷のことだろうと長谷部は察する。
語る本人はまるでその場に今いるかのように語るから、長谷部も割り込めずタダ黙って聞いた。
「だから、滅ぼすしかねえと思った。このモノクロの星を……ったくいけねえなぼんやりしてっとあいつの記憶に引きずり込まれちまう」
