未だひとり

たった1人黒く赤い存在が、その真っ黒な部屋ではより目立った。
マントを椅子にかけ、黒王はためいきをつき血を入れた酒を飲む。この広い空間にもたった一人だ、それに今更孤独を感じることもない。だが、だが思い出すのだ……ふとした瞬間に赤い色を見た時などに。
己と同じいやそれ以上に下手すれば眩い光を持った男、…追放した男神を始まりに持ちニヤリと笑い自分を見てきた化け物を。
『…何千年経ってでもお前を地面とキスさせてやるぞ、黒王』鎖で捉えられてるくせに、殺されたのに何故こうもこの男は自信ありげなのだ。皇嵐は俺の女だ、と言いたげな鋭い瞳。
彼女から離れられた自分に対しての哀れみのような侮蔑のような目が未だ自分を見てくるのだ。
ガシャンッッ!!怒りのあまりグラスを床に叩き落とし、黒王は髪を乱雑にかきあげ怨嗟の言葉を吐き出す。
「あの化け物がっ!、我を誰だと心得ておる!!。全ての始まりにして全ての支配者ぞ!、何故だ!何故あの男は我からすべてを取っていく!。アンリもしかり他のものものまで…!!」カリグラが死んだことでみな、確かに戻っては来た。だがその目は憐れみや怨み…かつての畏敬の念というものがないのだ。
ビルスなんかはカリグラ封印後にウイスに止められながらも、自分の元へ来て言葉を伝えてきた。
『今あなたがしたことは私情にまみれたことです……、カリグラという存在はこの世界いや全ての者に対して必要だった。僕は……あなたの今回の行動を許しません、では』金色の瞳が怒りというひとつの感情だけを宿し貫くように見てきた。
そんなもの己には歯牙にもかけないほどのことだが、他のものたちもアンリも同じようなことを吐いてきたのだ。
『我はもう…、貴方様につかえぬ。全てはカリグラと共にある、そう心に決めた』そういい深淵へとアンリは去っていった。
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