未だひとり

人間ごときが何を言う、と思ったがカリグラの底知れない闘気には警戒してしまった。そして本能から分かったのだ、もし…黒王の首に刃を突きつけるものがいるとするならばあの男なのかもしれないと。
気づきたくなかった、思い出したくなかった……憎い恋敵が唯一主君へと牙を向ける存在だということに。
「だがっ、俺は俺なりに皇嵐を守るように動いてきたとは自負しているっ。…あいつの方が正しいかもしれんと言うのはなっ!」
「そうやって心の中でだけ思うから、黒王様は"未だおひとり"ではないのか?」突然の言葉に擂牙は目を見開く、あの人が…?未だおひとりだと。我らが全ての始まりにして全知全能、闇の支配者たるあのお人が。
驚いてる自分にガイウスはあきれたように溜息をつき、これが器の違いだと吐き捨てる。
「いいか、カリグラは確かに己を1番と考えていた。だが、やつは信頼するものたちの言葉は聞こうとしたのだ。故に家臣第一として忠誠にあつくいざというときには意見を述べるナエといわれる忠臣をそばにおいた」
「それがなんだと人間ならば」
「人間だとかどうではない、やつはやつのことを真っ先に思うものをおき己が何かやらかした時には責任をすべて自分がとれるようにしていたのだ。黒王を明日は我が身としておいてな」
「……明日は、我が身…?」
「…黒王のように本当の意味で1人にならないようにだ、あれにとっては己の内なる狂気が破壊を求める心がどれだけでかくそして皇嵐様を傷つけるかわかっていたからな」ガイウスからの言葉に擂牙は身体に戦慄が走る、そうかそう言うことかと何かに妙に納得したのだ。
黒王が皇嵐に固執する理由、そして何故あれほどにカリグラを嫌ったかも。カリグラはある種の成功例なのだ狂気を手元に置き操ったというので。
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