ひとつの幸せ~第17章~

皇嵐の白魚のような白い腕が己の背中に回されて、ヨシヨシと撫でられる。ラディッツはくすぐったいと思いつつも受け入れ、ぎゅっと擦り寄った。
「もうッ…きついわよ生意気」
「ほんとに、本当なのか…ッ?」
「あなたから言ってきたじゃない、ラディッツ。私も愛してるわ……ラディッツ」彼女の優しい花草のような声が心地いい、じんわりと溶け込んできてまたより涙を流す。
「もうっ、泣き虫ね」
「好き、好きだ…っ愛している皇嵐」どれだけ言っても足りない、どのような言葉でも彼女への愛は表現出来ないだろう。そして己の、彼女との幸福の求め度にも言い表せることはない。
彼女とならどんな幸せもたまらなく嬉しいものであり、1日1日に対してもう死んでいいと思えるほどのものを感じられるのだろう。
結婚、夫婦という形は名ばかりのものでもある。だがそれで構わない、彼女との確固たる契りそして自分が彼女を幸せにするための誓いの言葉のようなものだ。
たとえどんな災厄に巻き込まれようと、彼女を幸せにするためにも抗い火の粉をはらってみせる。例えそれが己が本当の意味で人をやめることになろうと。
「…世界は、色々なものは私たちのこの関係を許すことはないわ。それでも、私はあなたとずっと……ずっといるわ」私も、と返事をしてくれた彼女は自分に言葉を伝えてくる。
この関係は世界が許すことは無い大きな罪だということを含め、だがそれでも……彼女は己を許し愛してくれるとその罪を共に背負うと答えてくれた。
ラディッツは誓いをたてるように彼女のその唇にキスを落とす、そして言葉を飲み込むように深く深く口付けて強く抱きしめる。
「俺もだっ……」お互いの手を取り、左手の薬指に指輪をはめる。
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