ひとつの幸せ~第17章~

だが自分は成長したのだ、そして彼女への想いが幼い頃から恋慕を抱き接していたこともわかっている。
「……お前のそれは、今まで見てきた人間のか?」
「ええ、あなたの事もよこんなにかっこよくなっちゃって。中身は変わらないところもあるけど」
「…皇嵐への恋心は変わっていない、気持ちは大きくなっているがな」またキザなことを己は言う、このような言葉でしか言えない自分の頭もだが……。だが、本当にその通りだ。
皇嵐への恋心はどんどん大きくなり、そしてみるみる膨らんでいく。
もし不幸なことがあろうと何があろうと彼女となら生きていける、たとえそれが身を引き裂くほど辛いことであろうと。彼女とならやっていけると。
「…ほんと、急にきざなこと言い始めるのだから…」彼女のあまりにも可愛い反応にしっぽがゆらゆらと揺れる。
こんな、こんな可愛い反応してきてほんとになんなのだ。
「キザだとは俺も思うが、そうだからな」
「まったく…そういうことを話しているといつかあなた、他の女性とかくっついてきそうね」たらしなこといって、女心弄ばないようにと彼女はいってくるがお生憎様よその女なんぞ知らない。
男だらけの職場ではあるが、確かに中には女性の戦士や医師などもいる。だがどれもこれもあくまでビジネスとしているし……確かにナンパは今回も受けたりしたが。
「俺は……皇嵐がいいからそう話しているだけだ」
「ふふっ、それはありがとう……ホントあなたといると色々と楽しいことがあって面白いわ」
「これからも…たのしませてやる」今だ、これは今この瞬間に出すべきなのだ。
「あら、そうなの……ってこれは?」すっ、とラディッツはシンプルな黒のジュエリーケースをだして皇嵐の前に差し出す。
4/8ページ
スキ