ひとつの幸せ~第17章~

きっと自分は神を天からおとさんとする大罪人なのだろう、だがそれで構わない。
世界から否定されようと、この先みなみなから後ろ指を刺されようと自分は彼女を愛しきってみせる。
ソファの後ろに隠していた指輪の紙袋を出して、皇嵐の目線がズレた先にボックスを出してポケットへと入れる。
もっと、タイミングを見てちゃんと伝えよう。もし受け入れられなかったら悲しいが………。
「もう、何をそんなにみてくるの?」ことッ、とローテブルにグラスが置かれて皇嵐が隣へと座りみてくる。
ふわりと香る彼女の香りに落ち着きながら、ラディッツは抱き寄せた。
「そのっ……お前が綺麗だから」
『お前は……変わらず金剛石のように綺麗だな皇嵐』えっ、と皇嵐は2つ聞こえてきた声に驚きラディッツの顔を見る。己が目線を合わせようとしたら恥ずかしそうに頬を朱色に染めている。
気のせいだろうか……、あのダチュラや甘い媚薬のような低い声がカリグラのが聞こえてきたのは。
「…もうっ、ラディッツ。どれだけ言うのよ、それ」恐らく…彼は、微睡みから起きて一瞬自分のことを見てまもりそれで声をかけてきたのだろう。
─大丈夫よ、カリグラ─あなたのおかげで私は優しい夢を見れているわ─
その想いを重ね、そしてラディッツへの愛おしさを込めて頬へと口づける。白い綺麗な肌、ほんのり焼けているのがなんと若さを表し瑞々しいことか。
「皇嵐…っ!」顔をより赤くして自分のことを見る彼がいとおしく鈴のような声で笑う。
「もう、何をそんなに照れるのよ……ほんと可愛い子」
「っ、恋人というかだなっ好きなやつにされたら照れるに決まってるだろ」ああ愛おしい男、彼とは違う反応にもそしてまっすぐと自分を見てくる瞳にも。
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