ひとつの幸せ~第16章~

「…全く、ほんとにあなたは子供なんだからしかたないわね」髪を少しかきあげて、ぴとりとラディッツにくっつく。先程までの顔とうってかわって、頬を赤く染めてラディッツはぎゅっと皇嵐の己より細く小さい肩を抱きしめる。
「…撮るぞ」パシャリッ、と小さい音がひびきフラッシュが目に入る。
「見せてちょうだい」彼に渡され画面を見ると、カラーでそこにはじぶんと彼がほほえんで映っていた。背景には水面に揺れる三日月もある。
まるで夜の祝福を受けているようだ、と皇嵐は目を開きゆっくりと瞳を揺らしてみる。
「良いわね…たまにはこうやってあなたと写真を撮るのは」
「…そうだな、皇嵐がいいなら俺もお前とたくさん撮りたいぞ」
「ええ、また撮りましょ」
「皇嵐さまー!、それなら僕たちもいっしょに撮りましょ!!」
「そうっすね〜!、俺様もそれいいかなと思いますよ~?」
「なっ!?、バカパクリ!!。俺は皇嵐とだなっ!」
「ふふっ!、たまにはいいでしょ?。僕たちとも写るの」にしし、と少し悪い顔で笑う翼に皇嵐は彼の子供らしいところを見て微笑む。そうだ、何も彼だけじゃない。
彼の周りの人達とも撮るのは悪くないではないか。
「いいわね、翼くんたちもいっしょに写りましょ?」
「皇嵐!?」
「いいじゃないっすか〜!、主。あのカメラタイマー機能もあるでしょ??」ほらほらいきますよ!、と嫌がるラディッツを取り押さえて国重は念力でカメラを浮かせてタイマーのスイッチを入れる。
「バカパクリっ!、なぜお前らなんかと!!」
「今日の旅行メンバーとしていいでしょ?、あんたも皇嵐様の笑った顔見れてよかったではないですか」国重の瞳が細くなり、ニヤニヤと告げる。それにラディッツは何も言えずいるとまたパシャリッと音が聞こえた。
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