ひとつの幸せ~第14章~

翼の的を得た発言にうぐっ、となりながらも国重のことを睨む。
自分の殺気の籠った目線にするり、と視線を逸らして避けながら皿に貝を盛る。
「ほらほら食べるなら食べてください、…皇嵐様とでも」
「厄介払いのように言うな」
「あらいい焼き加減じゃない、いただくわ」おいしそうだわ、と嬉しそうに言いながら食べる皇嵐にラディッツはドキドキする。
その桜色の魅惑的な唇が油によって光り、色艶と柔らかさが見るだけでもわかるように魅力的にうつるからだ。うっかり、これって見ていいものなのか?と考えてしまうほどに。
「……ッ(刺激強すぎるだろ)」ただでさえ滅多に見ない水着や、その姿になれずドキドキもしてるのに。さらに追撃が来るとは思ってもいなかった。
いや、もう既に海で遊んでた時からか……ほんとに可愛くて綺麗だ。上手く言葉が出せないほどには。
「美味しいですね!、皇嵐さま」
「そうね、あら翼くんお口についちゃってるわよ」食べかすを白く細く長い指でとって、ふふっとほほえむ。その聖母のような微笑みにラディッツは見とれながらも犬が羨ましい!!と心の中で叫ぶ。
国重の方は食べながらも心の中で叫ぶラディッツをじとっ、とみながらほんとご器用なことでとため息をついた。サイヤ人らしいようで、らしくない。そこらの思春期男子より思春期を送る主に半ば呆れの気持ちを抱きながら話しかけた。
「断末魔あげるくらいなら主も焼いてくださいよ、料理できる男子アピールでもどうぞ」
「…お前、たまに俺に冷たくないか?」はてなんの事やら、ととぼけつつトングを渡す。こちらとしては手伝ってやってるんだ、感謝のひとつはしてもらいたい。
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