ひとつの幸せ~第14章~

国重たちも買い終えて、いざ浜焼きを開始というところで「もう少し野菜とか欲しいっすねー」とフォローを入れた国重の言葉と同時にその場をラディッツは離れて受け取りの店へと向かった。
1歩1歩、と進めていくうちに心做しか足が重くなる。ついに、ついにやっと受け取れる。皇嵐へやっとできるという気持ちと、どのような返事が来るのだろうかという緊張もでてくる。
もし断られたら………ダメだ、嫌な考えがよぎる。だが受け入れてくれたらその時は自分は死んでもいい、いやもっと生きたいとなる気持ちが溢れてくるだろう。
「ついに、か……」確かここだな、とショップの中に入るとカランカランッと軽やかな木がぶつかり合い心地いい音が響く。
「ご予約の方でしょうか」ピシッと決めたスーツを着たヒョウの獣人族の店員が話しかけてくる。
さすがカリーのとこというか、ほんとに様々な種族のものたちがいて真新しいものばかりだ。少し声をうわずらせながら、ああと答える。
「……ラディッツで、予約の…」そうきくとああ!と店員は目を開きにこりと笑いご予約のお方様ですねと返答してくる。
どうぞこちらに、と手を出して別室へと案内をする。やはりものがもので、堂々と売り場では渡しにくいのだろう。
「こちらの部屋でお待ちください、お品物もってきますので」そう言われはいるとさすがに今の格好じゃ似合わない豪華な部屋だ。赤の色で壁は塗られ、所々の棚には高そうなカバンやハイヒールの靴が飾られている。
それだけではなく絵画も飾られてあり、ラディッツはひとつのものが目に入った。それは、惑星ベジータにもあった古い宮殿の絵だ。だが描かれてあるものはそれが恐らく最盛期だった時のものだろう。金のツタに絡まれた女神像、そして今にでも飛びそうな大鷲の飾り……まさにどこか別の星のいやそれこそ神の世界にありそうなほど立派なものだ。
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