ひとつの幸せ~第13章~

「恋人である俺に言えないことか?、皇嵐。年下とは言え、俺はお前の彼氏だろ。」力強く言う言葉に少し気圧される、やばいこれは言わないと不機嫌になるやつだと思いあのっと言おうとするが言葉が上手く出ない。
「そのっ、あっあとでいいかしら…?」小さく言うとラディッツは何かを察したのかわかったと言いちらりとどこかを見たあと一息ついて皇嵐の唇を奪った。周りからは小さく黄色の悲鳴が聞こえる。
「ん!?、ちょっ生意気!!?」
「…他に意識をやるなよ。」俺にやれ、といったあとラディッツは皇嵐の肩を抱く。周りに牽制するように、この女は自分のだと。
「……っ」こくり、と皇嵐は彼の言葉に頷く。ほんと、未だ10代そこらの男がなぜこのように上手くリードしてくるのか。
小さい頃から自分を見てきていた、そのせいだろうか。なんだかむず痒いような、恥ずかしいようなそのような感覚に陥ってしまう。年下のはずなのに、普段はかっこよくもありつつ可愛いと感じる彼が今は頼もしい…。
「(すっかり大人になってきたのね、彼も)」なんだかあの小さかった生意気が、とどこか感慨深いところがある。やはり年の差のせいか、つきあってるとはいえどこか幼い子供のように考えてしまうところがある。
だが今は彼女でありパートナーの自分を守ろうとしてくれたり、不安を察してそばにいて肌をくっつけたりと安心させようと気遣ってくれている。チラリ、と彼の顔を見るために目線を上げてみれば真剣に周りを見たり何気に威嚇してるようだ。
「もうッ、何してるのよ」列が進み歩きながら聞くと、お前を見てくるやつを脅してるだけだと返事が返ってくる。
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