ひとつの幸せ~第12章~

信長はそれを優しく微笑み眺めて、妻濃姫とともに酒を嗜んでいた。
ひと時の時間ではあったが、どれもこれも幸せな記憶だ。
「地球のやつのことか。」
「ええ、自然豊富なとこでしたよ。…惑星フリーザのとこより空気も綺麗でした。」
「なるほどな…、だからおまえは自然にうるさいわけだ。」
「ちょっ、うるさいはないでしょ。」俺様たちもその自然から生かされてるのありますからね?、とラディッツに苦言を呈したが本人は無視して皇嵐のことを見つめていた。
その顔は信長がかつて、妻に向けた愛おしそうな顔と似てて国重は懐かしさに駆り立てられる。
「ラディッツー!、こっち来なさいよ!!。」そうしてると皇嵐が手を振り無邪気な笑顔で呼んでくる。
その笑顔は南国の太陽よりも眩く、花よりも可愛らしい。
「可愛いで死にそうならとっとと行ったらどうですか。」容赦ない言葉が悶える自分に来る。行きたい、行きたいさ。だが眩しすぎて見るのがやっとだ。
「…可愛いが過ぎないか。」あの年上の女が少女のようにはしゃぐの、ああ愛おしいとか可愛らしいとはこれかと不思議な感覚に襲われる。あたたかく、ふわりとした感覚。
とりあえず後でバカパクリは海に放り投げよう、と思いラディッツは皇嵐の元へと向かう。
「コケないようにな。」彼女の腰に手を回して、優しく抱く。サラリとした水着の感触を通して彼女の柔肌の感覚と体温が伝わってきて思わず胸が高鳴ってしまう。
今晩、彼女にプロボーズすることも思い出して……少しの緊張と指輪の受け取りの時間をまだかと待つ心が。
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