ひとつの幸せ~第8章~

どういうことなの、これはと国重は冷や汗を垂らす。見ている感じ、彼は一度死んでるようだ…刀のかんでわかる。死人の匂いが混ざっているから、でもそれだけじゃない。
「(向こうの主は一応人間だと聞いていた…、原初の魔族の血を引き継ぐ。でもこれ明らかに魔族というか最上位のでしょ)」鬼のようなそんな気配だ、なぜ人の振りをするんだと考え国重は察した。
そうか、この人は
「(主を助けに来たんだ)」大方何かしらの力で未来を見たのだろう、だがカリグラの器そのままふたつもあれば歴史どころの騒ぎではなくなる。だから他人のフリをして、ラディッツに接触してきたのだ。
皇嵐の方を見ると、彼女も事情を察しているようだ。だがこれは命綱なしの綱渡りのようなものだぞとおもう。
「正気じゃないね…」主に直接接触してまでやろうとするのは。
だがこんな危険なかけをする辺り、カリグラそっくりだとも思う。若い頃の生き写しのようじゃないか。
「ラディッツ、このかたは?。」皇嵐は気まずい空気の中切り出した。
「…あぁ、魔導師のRaだ。実はーー」そこからラディッツはカリーに話したものより、丁寧に皇嵐に話した。皇嵐はそれを聞きながらも相槌をうちつつ、やはりカリグラの魂どうしひかれあうものがあるのだなと納得してしまう。
「(なんというか、あの人らしいわね…)」洞察に加え直感で行動するあたりは。
国重の方は話を聞きながら、あなたほんと変なもの拾ってきますよねとラディッツに対して言い放った。
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