ひとつの幸せ~第8章~

疲れた、もうとにかく疲れた…。ほぼほぼ脳死の感想を考えながら、ラディッツは自宅に着く。数日ほど離れてた程度なのにもう皇嵐の気配が懐かしい。
ガチャり、と扉を開けると
「ラディッツ、帰ってきたのね。お疲れ様。わ!?」皇嵐だ、ああもうほんとに癒しだ…。思わず彼女を抱きしめる。ふわりと自然の花の香りが鼻をくすぐる。
「…ただいま。」一言、そう言ってグリグリと皇嵐にマーキングするように擦り寄った。
「とっとりあえずはいりなさい!、ほら!!。」ズルズルと皇嵐に引っ張られて家の中へと入る。食事の準備をしてくれていたのかご飯の匂いがしてきた。
「あのー」その時だ、Raは頭を抱えながら声をかけてきた。
皇嵐はその声にピクり、と反応する。そしてあの匂いがする…妖しく危険な男の香りが。もしかして、いやほんとにと皇嵐はRaをみる。
間違いない、この目は本人は隠しているが獰猛な修羅のような瞳。見たものをひれ伏させてしまう異様な雰囲気。一瞬、ほんの一瞬だけカリグラの姿と声が聞こえてきて呆然とする。
『久しぶりだなぁ、皇嵐』Raの言葉に重ねて。
「私もお話したいのですがね、契約者様。」
「…あぁ、悪いな。Ra。」あのラディッツが名前を呼んでる?、どういうことと皇嵐は混乱する。その異様な雰囲気に察してか国重が玄関前へと来た。
「おや主、おかえりなさーい……!!?。」
「…おや、あなたもしかして刀の付喪神ですか?。」仮面下でRaはニヤリと笑い、彼を見てアイコンタクトをする。
ー言うなよー、喋りもしてないのに不思議なことだ。脳内に声が響いてきたのだから。
「(間違いないねぇ…へし切もいやがるじゃん)」
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