ひとつの幸せ~第6章~

小さい頃、弟カカロットのことを見る目は憎悪に近いような感情だったなと皇嵐は思い出した。
カリグラもカリグラで弟ユリウスに一線をひいてそうだった。カリグラのばあいは、性格や自分の運命がわかってたからこそにもみえるが。両親との話もあまり聞いたことがない。
「翼さーん、少し休みませんか?。」皿をかたす翼に国重は声をかける。
「国重さん!、はいっ…これを片したら休みます。」
「休みも大事っすよ、休みましたら剣術教えてあげますから。」
「はい!!。」最近翼は腕をなまらせたくないから、と国重に剣術を指南してもらってる。国重も国重で嫌な感じはしないようで、
『しょうがないなー、少しだけっすよ。』といって何やかんや丁寧に教えてあげてるらしい。
「…国重、あなたって世話焼きね。」
「あー…、どうですかね。……でもそうですね…」軽く目を閉じれば鮮明に思い出す、信長が蘭丸に弓矢を教えてたことを。そして、蘭丸は蘭丸で信長のためにと頑張ってたことを。
あの幸せな光景は今の自分の礎となり刀としても神としても立たせてくれている。
「……信長公ならそうした、でしてるかもしれませんね。」
「あら、あなた意外とロマンチストというかそうなのね。」
「あなたに言われたくないですわー…、まっ俺様は付喪神なので主の影響を受けやすいのですよ。」そうね、と皇嵐はそこに同意する。だって今の彼の姿は今の主…ラディッツを模して服装は信長のをしてるのだから。
「国重さま!、終わりました。」
「お疲れ様です、ではお茶でも飲んで休憩しましょうか。」国重はわざわざ翼に目線を合わせる為にとしゃがみ、スっと金平糖を渡す。
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