ひとつの幸せ~第6章~

翼を拾って数ヶ月ほどたった頃……。
すっかり翼は環境に馴染んで、ラディッツの服を用意したり皇嵐の代わりに朝ごはんを用意したり(しかもサイヤ人の量を軽々と)とさながら執事のように働いてくれていた。
ラディッツも彼のことを多少信用するようになったのか、こき使うようになってる。
「(果たしてこれがいいか分からないけど)翼くん…ラディッツのために働くの嬉しそうね。」
「ええ、以前の主を思い出すようですよ。」以前の主…
「…向こうの、"主"ですよね。」
「そうね……、私は見た事はないわ。」
「そうっすか、痣丸から聞きましたが…まぁ主に似てるらしいですよ。心は、見た目は違うらしいですが。」
「なんでも呪術師らしくて、向こうじゃあまあここと違い最強らしいですよ。」
「呪術師…確かに、彼らの性格なら向いてそうだわ。」
「えぇ、ですが翼くんには優しかったらしくて。」彼に月鬼は術を教えた、武道をおしえた、ありとあらゆる知識を翼にさずけたらしい。なるほど、だから執事のような振る舞いが幼いながらある程度できるのかと感心する(月鬼なりの優しさで)。
「……なぜでしょ、ラディッツを見てるせいか優しさじゃなく楽するために見えるのは。」
「奇遇ですね、俺様もですよ。翼くんが喜んでるから何も言いませんがね…」
「…向こうのラディッツ、ね…」
「まぁ強さがある分、ある程度の余裕のようなのはあるらしいですが根本は主のようなものらしいですよ。とにかく人に心を開かなかったらしいですし…両親にも。」両親…そういえばラディッツも親の話をあまりしてこないな、とふとおもう。
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