ひとつの幸せ~第5章~

あんな非常識に卑劣の塊のどこが優しいだろうか。いくら考えても分からない、ほんとに。
「翼くん、あなた優しい子ね…」とりあえずのフォローを入れつつ皇嵐は翼にパンケーキを皿にのせて渡した。
「ナイフとフォークもあるわ、大きさはこれでいいかしら?。」少し小ぶりなものを翼に渡す。
「はいっ、ありがとうございますっ」翼は受けとって丁寧にきりパンケーキをほおばる。
「どうかしら??」
「おいしいですっ、すごくっ」ひまわりのような明るい笑みを浮かべて翼は答えた。
「そう、良かったわ。」
「なんだ、カリーたちやっと帰ったか。」小さい子の笑みに癒されてたところ、まさに正反対の塊のラディッツが髪を拭きながら戻ってきた、風呂上がりのせいか前髪は垂れている。
仕事の書類のようなものを近くの棚から取り出し、ソファへと座る。
「えぇ、飲みに行くとはなしてたわよ。」
「またか??、こりんな。」書類をめくりながらラディッツは答える。
「余程好きなのでしょうね…」
「いつかあいつら、酒の塊にでもなるのでは無いか?。」
「ど、どうかしらね…(そういえばカリグラも嗜んでたわね)」ふと皇嵐はラディッツの姿から彼のことを思い出した。
風呂上がりにカリグラはよく自室へと行き、細かいデザインが施されたグラスにさけをそそぎのんでたなと。
『ここからの月の眺めが綺麗だからな…』そう言い、少し悲しそうにカリグラは月を見ていた。何を思い出してるのだか、こんなのラディッツがしったら静かに冷たく切れそうだ。
「ラディッツはなにか飲まなくていいの?」
「ん?、…そうだな今は要らん。あとで飲む。」
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