ひとつの幸せ~第5章~

「(ああ、懐かしい匂いだわ……)」妖しい感じででも奥にスモーキーなムスクのような香り。嗅ぐものたちを引き寄せてしまう甘い甘い危険な香り。国重はこれをわかってさきほどいってきたのか。
「この子、どうしたのよ。ラディッツ」
「勝手に着いてきた。」冷たくキッパリ、と不機嫌そうに言う彼に皇嵐はくすくす笑う。
「あらそう?、なのにあなた突っぱねなかったのね。」
「…この犬が、俺のために働くと言ったからな。」
「犬??。」
「ヒョコヒョコ足元を駆け回るからだ。」
「おい、ラディッツ!。おまえ皇嵐に名前くらい教えてやれよ!!。」
「犬が言うだろ。」俺は風呂に入ってくるぞ、と浴室に向かっていった。
「ったく、あのバカは…」ターレスはヤレヤレとなる。
「ねえ、君名前は?」皇嵐はにこりとやさしくほほえみきく。
「真堂、翼です。」
「翼くんね、わかったわ。」受け答えははっきりしてる、礼儀正しい子なのだろ。だけど問題は、彼が背負っている日本刀だ。
「…痣丸、そんなに殺気出さなくていいっすよ。ここの方たち、あんたが思うより100倍は優しいんでー」国重がその日本刀に声をかけた。
「え?、なに国重。おまえ、しりあいなの。」
「カリーさん、おつかれさんですわ。まぁ、そうっすねぇ………次元違いの知り合いかな。」ぬるり、とへびのように刀から不気味な札を大量に着けた男が出てくる。下半身は少し透けている。
「長谷部国重………、なぜおまえがここにいる。」
「痣丸…、知り合いなのですか?。」
「あぁ………昔のな。」
「いやぁーお久しぶりっす、あんたもあんたでやっとちゃんとした主君見つけれたんですねー。」
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