慟哭

「いいぜ、来いよ!!。皇!」月鬼は皇がかけるとどうじに土御門や賀茂達が己へとかけようとする呪術を消し去り、皇の攻撃へと集中する。もういい、俺には失うものもない。ただ、ただここのヤツらを壊すだけだ。
己も負けじと右手に力を貯める、力は黒く禍々しい槍へと姿を変えた。その姿は皮肉にもカリグラが、破壊神たちと戦った時に出したものと同じだった。
ドゥゥォォォン!!!、鈍く低く大きく爆発音がきこえるそれとどうじに水と雷そして炎と暴風が周りを巻き込み結界を壊した。
水は蒸発し水蒸気爆破を起こす、世界が禁忌としてきた核爆発のように。
散り散りと砂ぼこりがまう、そこからぼんやりと彼らの姿が見えた。
「……っがぁ!!!」皇が血を吐き出し、倒れる。一瞬、そう一瞬のすきをやられたのだ。
皇が首を切ろうとした途端月鬼は一瞬時をとめ、避け一閃槍を皇の心臓へと刺した。だがそれだけでは無い、そこに気づきかけつこうとした多々羅の首をもいで術士たちへぶつけ殺す。
月鬼は物の見事にほとんどのものを殺したのだ。
「っくくく………」月鬼は笑う、ああこんなにも簡単なのかと。
嗤うのだ、あまりにもこっけいだと。嗚呼ほんとに虚しくもなんとも面白い。
がしっっ………、あまりにも滑稽だと感じているところ腰を何者かに掴まれる。おかしい、己は術師たちを殺しきったはずだ。
手が見えてくる、そのものの手に月鬼は目を見開いた。
「強薙っっ……お前ぇぇ!!!!」父の手だ、その手には自爆の札がある。
「…オヤジらしいことはしてやれてなかったからなッ、死ぬ時くらいは一緒にしてやる。」
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