慟哭

「へし切長谷部」月鬼は長谷部を顕現させ、その刀身を持ち跳ね返す。
「……」皇は目を細めて、月鬼をみた。
「いいだろ??、これくらいのハンデはよ。」
「ああ、丁度いいだろうな。」皇は軽やかに地面を蹴り、右から斬り掛かる。
斬る、薙ぎ払う、それをはじき返す………繰り返し行われる斬撃はまるで勇者と魔王の戦いのようだ。
「多々羅ぁ!!!」皇の掛け声とどうじに多々羅は二人の間に結界を貼る。
「いいんですかい!?、月鬼なんかとふたりで!」
「オレがこいつに負けるわけが無いだろッ!」
「ずいっっぶんとなめてくれてんなぁ?、皇ぃ!!。」あごをなぐり、皇の頭をつかみ地面に叩き付ける。
「来い、遠慮はいらんぞ…皇さんよ。」
「ほざけ!!!」瞬時に立ち上がり水と白の雷を合わせ、光線のように放つ。これには流石の月鬼もダメージを受けるだろう。

だが、現実は残酷だった。
「アマテラスの力か…」月鬼は受けてもなお生きていたのだ、無傷で。パンパンッと右肩の砂埃をはらう。
「いい線に言ってたぜ?、皇ぃ。」
「化け物がっ…!」
「今度は俺の番だ。」たんっっ!、と月鬼は姿を消して怒号のラッシュを皇にぶつける。
「がはっっ!」
「おいおい、態々俺はこの結界内で戦ってやってんのによォ?。どうした??、ほら頑張れ頑張れ。」鈍い骨の折れる音がひびきわたる。
「…加減は、必要ないらしいな。月鬼」肩で息をしながら皇は水の剣に己の生命力を注ぎ込む、水の剣は青から金色へと変わった。皇の髪も黒から金へとかわり、聖なるものへとなる。
「……ほぉ?、いい。綺麗だな。」大天使のようだ、と感嘆する。
「皇っっ!!」多々羅はそれは禁忌だとすぐに気づき声をかける。だが、その声を他所に皇は月鬼へといった。
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