慟哭

なんやかんや自分のことも相談にのり、本音で話してくれる。
「…ほぉ、月鬼の。きさまはオレ様たちが堕落した豚だと言いたげだな。」
「ああそうさ、肥えた豚さ。俺の親も、お前もらもな!。」
「では、その豚の犬となる気持ちはどうだろうな。」にやり、と皇の瞳が笑う。
「……何をする気だ。」
「言っただろ、お前を犬とする。ここに居る月鬼の一族も、どうやらオレ様たちに同意してくれたらしいからな。」は??、と月鬼は強薙のことをみる。強薙の瞳は冷たく、だが複雑そうだ。ああ、でもそうか。
「(俺は捨てられたのか)」本当の意味で。部下たちも能面のような顔で自分を見る、これは必要だといいたげに。
見渡す限り弟はいない、なるほどやつこそ必要だとなったか。
「面子も守るオヤジらしいなっ…!!!」途端、ドッッ!とでかく自分の心臓が慟哭する。初めての感覚に月鬼は驚く、まるで自分の心臓が作り変えられたような感じだ。
発作や動悸でもない、自分は持病などない。なんだこれは、まさか呪術か?となる。
だが自分が知らないようなものだ、ああ何者かに心臓をえぐり取られそうな感じもする。
「っがっはぁっ……!!」落ち着け落ち着け、俺ならやれるはずだと月鬼は呪術についてひたすらかんがえる。
まずひとつ、見た事のない魔法陣。だが円形に恐らく帰蝶の血やその家族のだろう、ひろがっている。
そして自分に付けられた手錠や鎖、見たとこ己の呪力をおさえつけるためのだ。だが、何だこの感覚は。
「(俺は、初めて受けたはずなのにこの感覚を知っている)」呪力をおさえられ、封印をされそうな冷たい感覚。
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