慟哭

掛けられた手錠もだ、己の力が抑えられていることは分かる。まるで犬に付けられた首輪みたいに。行動が制限されてるようだ。
「…貴様は変わらんな、月鬼の。」皇家当主が嘲笑うような顔をして自分に近づいてくる。
「皇っ…、おいおいどうしたんだよ。お偉いさんがわざわざ都から下ってきたのか?、ご苦労なこったこんなへんぴなとこによ。」
「きさまが仕事をしないからな、オレ様達がすることになった。羽虫のひとつも片しきれん弱虫の代わりにな。」
「ほぉう??、それは有難いことだ。だがことばをえらべや、この手錠が外された時にはお前の喉元を犬らしく噛みちぎってやるよ。」どうだかな、と皇のものは鼻で笑う。
「小娘1人まもれんくせにな」
「帰蝶の両親も殺したのか。」
「殺した?、あああいつらか。殺してはいない、片したんだ。邪魔だからな。」国のために、と言葉を続ける。
「白峰大明神、あれらの家のものを行かしておいても我々の邪魔になる。お前が動かないからだぞ?。」だから死んだ、彼女も家族も。
「うるせぇなっ、俺はお前たちみたいに大義だの誇りだので動いてねえんだよ。そもそもお前たちだけであいつに勝てれるかよ!、いいか??。白峰大明神…崇徳院がなんで怒ってるかわかるか?、おまえらみたいなろくでもねえ連中が国民を苦しめてるからだよ。」取り立てを行い、そして金のないものたちから金をうばう。だから怒った。
努力しないものたちが楽をする世の中に、そして本当に努力するものが報われない世の中に怒ったのだ。そして、自らが必要悪となり天罰を下さんと誓ったのだ。
己を依代に魔王となる事でーー
確かにその子孫である重虎は気が狂っているし、人格も破綻してる。だが己が大切とする相手には誠実だ。
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