初めまして愛しき方~第2章~

彼が己に見せてくれたあの場所、もういけないかとおもっていたのに。
「ほぼなにもない、廃墟なのにな…この藤は咲いていたぜ。…惑星ベジータじゃ、珍しいんだよな。その花」
「…カリグラ…」小さく、その名前をつぶやく。今振り返ればあの人は、自分を真剣に愛してくれていた。自分のために、色々としてくれた。この花もそうだろ。彼自身美しいものを見るのは好きだと話していたが、明らかに彼の好きな物ではないものもあった。もし、あのとき私が彼を受け入れたら…
(彼は生きてくれたのだろうか)そんなのわからない。カリグラは、流星のような人だった。同時に掴めない人だったのだから。
「なぁ、藤の花の言葉知ってるか?。」えっ、とラディッツを見た。一瞬カリグラに見えたからだ。
いや、今の言葉は彼と同じだ。その聞き方も不敵な笑いも。
「…桂客かしら?」違う、とラディッツは答えた。あのときのカリグラのようにだ。
「恋に酔う、だ!。俺の気持ちだ‼。だから嫁になれ!」
「…そうね、あなたが大人になるまで真剣に愛してくれたらね。」カリグラみたいに、と小さく呟いた。そして花を近くにあった花瓶にさした。
「俺は今でも真剣だ!。だから、キスを…!」ヤバイ、とラディッツは両手で口を塞いだ。
「あなた、まさか私が寝てる間に…」
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