慟哭

夜中、月鬼は雲に飲み込まれていく満月を見ながら水を飲んでた。
「今日は……風が騒がしいな」ざわざわ、ざわざわと胸をかきたてる。やはりあの父からの頼み命令……竹藤を殺す。
「あれをすれば…まちがいなく、殺される」月鬼はどうしたものかとあたまをかいた。
あの様子を見る限り父は皇たちの言葉に承諾してそうだからだ。師匠である崇徳院は、その事実を知れば暴れるだろう。
「(何が起きるかわからん……これからは)」
「ラディッツ?、そこで何してるの。」ひょこっ、と帰蝶は現れて彼に声をかける。手にはデザートとしてもらったおはぎがある。
「…帰蝶、いやな……少し悩みがな。」
「翼くんのこと??、彼の両親たちとか…」
「………まあ、な。それもある。」すこし目を逸らしつつ彼女の言葉に答える。
「そう……、翼くん無事だといいけど。」
「無事なのは確認できている、ただ…あいつをここに呼び戻さなくていいと思ってな。」
「…どうして?、ラディッツはあの子のこと気に入ってたじゃん。」
「……帰蝶。」
「なに?。」
「……暫くここに来るな、色々と荒れるかもしれんからな。」
「え??、どうして?」
「…お前に言うか迷ったが、俺は下手したら親父たちとぶつかる羽目になるかもしれん。」
「おじさんと??」
「ああ、帰りは送る。この時間帯は魑魅魍魎どもが多くいるからな。」
「待ってっ、なんでおじさん達とぶつかるの?。前も喧嘩したりとかあったけど……」月鬼たち親子はよくぶつかることがある、保守的でだが着実に強くなろうとする父。
革命的に己の考えを貫く天上天下唯我独尊な月鬼本人。
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