慟哭

桜の間、月鬼本家のものしか使うことを許されていないひみつのへやである。そこで月鬼の父、強薙はむすこをまっていた。
目の前に赤の雷が落ちてくる、強薙はそこを目を細めてみた。
「やっと来たか……」
「休憩時間に呼ぶとは何様だ、バカ親父。」ことりと湯のみをおき強薙は息子に告げる。
「仕事のことについてだ、おまえ讃岐院の封印に参加していないみたいじゃないか」
「…あぁ、それがなんだ。」
「なぜ参加しなかった、賀茂家や安倍家から苦情が来たぞ」強薙は眉間にシワを寄せてそれぞれの家から来た書状を月鬼にぶつける。
「讃岐院の力はこの地に住む我々だからこそわかろう!!!、やつが目覚めればこの日の本はまた火の海になるぞ!」100年おきに崇徳院のたたりは起きると言われる。次に起きるのは2064年…タイムリミットは50年を切ってる。
(親父は俺が師匠に鍛えられていると知らないからな)むすこがその怨霊神に鍛えられていると。月鬼の家は邪神の血の流れを組むところだ。人間ではなく、半妖に似たものと言ってもいい。
月鬼は鍛えられているからこそ封印の大切さは知っている。だが同時にわかる、封印してもあの崇徳院は目覚めるということを。
「…親父、わからないのかあの新院は封印しても無駄だと」
「……」
「やつは初代晴明の貼った結界を壊したんだぞ?。たしかに俺達は安倍家や賀茂家より歴史が古く権威もある家だ。…そんな俺達がここにいるのに活動してるのだぞ貼っても無駄、むしろ相手を強くさせる」
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