草むらの上では自分がまとっていた上着の上で寝ている彼女がいる。
「…すまない」すやすや、と寝息をたてる皇嵐の髪の毛を撫でてラディッツは小さく呟いた。
誘われたとはいえこんな外で彼女を抱いてしまったのだ。責任を感じる。
彼女が着ていた服を被せて、抱き上げる。今のうちに家に連れ帰った方がいいだろう。

連れ帰り、彼女が寝ていた部屋に寝かせる。ぐっすり寝ているようで目を覚ます気配がない。
「……皇、嵐」まさかこんな人の名前をいとおしく呼ぶ日がくるとは予想をしてなかった。
空に上がった三日月が優しく彼女を照らしていた。美しい、黒真珠みたいにきれいな黒髪も赤い目をふちどる長いまつげも彼女の儚いからだも…全部が愛おしい。壊したいほどに、でも暖かく守りたいほどに。
ベッドを見てギリギリはいれるなと思い、彼女の隣に寝転がり抱き締める。
「皇嵐…。」初めて、何かをとりもどせられたようなきがした。
自分も目を閉じて、眠りにつく。彼女が起きる前に目を覚まそうと考えて。

「ラディッツー、かえってきたぜ！」翌朝ターレスとカリーは、朝イチに帰ってきた。しかしリビングには誰もいない…。どういうことだ、と辺りを見回すがいない。
「…っおかしいな、まさかラディッツのやつ帰ったのか？。カリー、おれは皇嵐の部屋覗いてくるから」
「あ？、おれはダメなのか」
「……万が一があるからな、お前皇嵐を狙ってるから」未だにそうだろ、とターレスは吐き捨てる。