共に生きていきましょう~た第10章~

不思議なものであったから、妙に記憶には残っている。ここから少し離れたところにあった。
飛んでいけばすぐに戻れる。ラディッツは家からでていき、取りに向かっていった。


「…ラディッツ、上がったわよ……って、いないじゃない。」皇嵐は風呂から上がり濡れた髪を拭きながら辺りを見回した。
全く自分の髪を拭く音や歩く音以外聞こえてこない。ベジータにでも、呼ばれたのであろうか。それとも
「……新しい女にでも、ね。」あり得ることだ、彼はもう記憶がないのだから。カリーやターレスからしたら、普段通りであっても自分にとっては全く知らない彼となったのだから。
勢いよくリビングにあるソファーに座りかかる。いないなら、いないでいい。護衛みたいなものだとターレスはいっていたが、神である自分にとっては必要のないもの。いてもいなくてもほぼ変わらない。
深く息を吐きからだの力を抜いていると扉が開く音がした。
「…なんだ、もう上がったのか…」皇嵐は、どうしてと目を大きく開きその光景に呆然とする。開いたところには、服に葉や木の枝がついて明らかに山中を歩いたような姿をしたラディッツがいるからだ。これだけなら訓練にでもしにいったのかと考える。
けど、なにより信じがたいのはその手に持たれているもの。
「なんでっ、あなたがその花を持っているの……!?」藤の花だ。幼い彼とあのカリグラが自分にくれた。思い出の忘れられない花。この星にもあったのか、とでもどうしてそれを。
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