共に生きていきましょう~第9章~

いやいや、それでもおかしい。なにか違う。そう、まるで…何かをとられたような。自分の大事なものを。
考えていると頭が痛んでくる、内側から叩かれるように。何かがドアを叩いているように痛みが響く。
(まさか、俺が忘れていたのは…)答えを見つけたとき、料理がことりと置かれた。
「…たまには家来が好きなものを食べなさい。」
「…っ、あぁ…」顔が熱くなっているような気がする。記憶は戻っていない、でも自分は自覚してしまった。


























記憶がなくとも自分は彼女を愛しているのだと言うことを。
(どう言うことなんだよ…)自分がまさか恋をするなんて。いや、正確にはしていたかとラディッツは思う。
無縁だと思っていたのに。あぁ、でもよく考えてみれば自分が彼女を気になっていたのはそういうことかと納得する。
(それならっ、俺会ったときにあんなこと言わなければよかったのか…!!)嗚呼、なんと言うことをしてしまったのだろうか‼。嘆くしかない。
「…ラディッツ、美味しくないの?。」
「あっ!?、いっいや!。何でもない‼」待て、自分は考えていただけのはず。いつの間に食べているのだ。あれか、本能なのかと葛藤を抱く。
ちらりと彼女の顔を見ると、どこか懐かしそうに自分を見ていた。
どうしてだ、と疑問を抱いてしまう。
(俺はこいつにそんなにたくさん弱味を見せていたのか…?)人間味があることを。彼女(好きな人)に。
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