共に生きていきましょう~第9章~

あぁ、なるほど彼がターレスやカリーたちから魔王と言われるのはこの傲慢な態度からなのだなと皇嵐は確信した。若い頃の唯我独尊のカリグラそっくりな態度ではないか、これは。
「…私がいるのは嫌でしょうね。」そう言うとラディッツの口から思いもよらない言葉が吐き出された。
「そこまで嫌ではない。」
「…お前は俺の失った記憶を知っているのだろ。」皇嵐は思わずラディッツの言葉に背筋を伸ばした。何でそれを…と言いたいが、堪える。彼自身にわかって欲しいから。
「……バカパクリたちがいっていた。お前の失った記憶は自分で取り戻すべきだとな。」わかるようでわからないんだ、とラディッツは苦しそうに言葉を吐く。そして続けて言う。
「…ただわかるのはあいつらがあぁ言うほどだ。俺にとって大事なことだったのだろうな。」
「……思い出そうとしてるの?。」皇嵐は問いかけた。すると当たり前だ、と答えが返ってくる。
「そんな大事なものだ、よほど重要なものだろ。」それで知っているのか?、と問いかけられた。皇嵐は少し黙ってえぇと答える。相も変わらず頭の回転早い事だ。
でも、と皇嵐は冷たい面持ちで言った。
「あなた自身で解決しなさい。カリーたちの言う通り、あなたが見つけないと意味がないですもの。それにあなた、サイヤ人の戦士なのでしょ?。そのくらいできるはずだわ」ー…そしてあなたはもう、私の知っているラディッツじゃないのだから。ー聞こえないほどの声でポツリと悲痛な叫びを皇嵐は呟いた。
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