大魔王の怒り

黒王の部屋

城の上階に彼の部屋はひっそりとあった。無機質でなにもない、でもどこか威圧感を持つ部屋だ。
カラン…、蜂蜜色の酒が注がれたグラスは黒王の手に持たれ音をならす。
黒王は先程界王たちといたときに羽織っていたマントをはずしラフな格好で椅子にもたれ掛かっていた。
「…カリグラ…のぉ…」ポツリ、と気だるげに名前を呟く。彼のことを調べたが、とんでもない神童がいたものだと何千年いや何億年ぶりくらいに感嘆した。
たった一人で全ての宇宙や世界を束ね、神たちを平伏せた人間の゛男″。しかも生まれはサイヤ人ときたではないか。さらにはあの魔王と契約し力を手にいれる。尋常ではない。だが…
(我が殺したがな)神たちに命令して、死を早くさせた。本当は長く生きれただろうし、カリグラも気づいていたのだろう。
「…所詮は人間よ…」真なる魔王には、敵うはずがない。
グラスを紅い月に照らし怪しく光らせ酒を飲む。あとは、あの゛男″の器を見つけて制裁を下すだけだ。そして…




「皇嵐を我が手に入れるだけよ…」
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