もう1人の器

「事実だろ?、あいつはほぼ人格破綻者だぞ?」月鬼と帰蝶の幼馴染みの竹藤 重虎(崇徳 顕仁)は俗に言う変人である。興味があることがあれば、とことん追求していく。例え世界の真理についてでも危険なことでもだ。
だが興味がないことには冷めていて、冷たい。極端なのだ。さらには考えが読めずミステリアスな人でもある。名前からして男のようだが、一応女なのだ(見た目も男)。
「…そうだけど…」
「それによあいつの家はお前も知っての通り師匠の子孫の家だ。唯一の白峰大明神の子孫でありながら姫らしからぬやつだ。」
「シゲちゃんのこと詳しいし、気を使ってるのね」
「バカ言うな!、あいつがただ単に迷惑きわまりない行動して俺が師匠に殺されないためだ‼」苦い顔をして反論する。好意を持っていると勘違いされたくないのだ。
月鬼の想いびとは目の前にいる彼女だから。

その頃、白峰の山では月鬼が危惧していたことが起きていた。
あの役人が乗っていた車が動かなくなったのだ。おかしい、先ほどまで動いていたのにと役人は必死に原因を探す。
すると、男と女とは見分けもつかぬ黄昏色の声が響いてきた。
「…あんたか、父と母を殺したことに関わりあるものは。」声が聞こえるとこを見ると、役人は腰を抜かした。
魑魅魍魎の群れに僧が着る衣を着ている、男か女か分からぬ者がいたのだ。だがその背には黒く淀んだ天狗のはねが生えており見るからにこの魑魅魍魎の主だ。
7/9ページ
スキ