ツナさんのクラスに転校生がきた。

獄寺隼人という、イタリアから来た殺し屋（ヒットマン）だ。

彼曰く、ツナさん(10代目)の部下で右腕だそうだ。

リボーン君的にボス補佐の役目らしい私にだいぶ食って掛かってくるが、私はただの沢田家の居候。

ボンゴレにもボス補佐にも興味無いと伝えているつもりだ

そんな中、ツナさんの新しいお友達の山本さんは一緒にマフィアごっこをしようと誘ってくる。

家に帰れば居候が増えている。

牛柄の5歳児ランボとリボーン君の愛人ビアンキ。

それだけなら良い。

私にとって最大の脅威が訪れたのだ。

それはツナさん（ボンゴレ）の遠縁にあたるファミリーの娘。

アンナと名乗った金色の髪の少女。

近くの屋敷に越してきて、ツナさんのクラスメートになった。

ツナさんや極寺さんや山本さん達とすぐに打ち解け、誰とでも分け隔て無く接する。

一見、非の打ち所が無い少女だが、時折私に敵意を向けてくるよく分からない人。

いつも私が居た所に、当たり前に彼女居るようになった。

僅かな嫉妬を圧し殺し、いつも通り振る舞う。

どんどん私の居場所が侵食されていくような感覚が私を包む。

……私はここに居てもいいのだろうか、私はもう此処では必要とされてないんじゃないのか。








部屋にこもり、カーテンを閉める。

暗くなった部屋のベッドで横になり、クッションを抱え目を閉じる。

8年前のあの日、あの夜、ヴァリアーがバラバラにされた日。

沢田家光が私の手を無理矢理引いた。

助けを求めても誰も目を合わせてくれなかった。

スクアーロ様の謝罪、啜り泣くルッスーリア姉様の声、放心してるレヴィ様、背を向けるベル兄様に抱えられたマーモン様、そして氷に囚われたザンザス様。

私はヴァリアーには居られなかった。


沢田家康に連れて来られたお屋敷で大人たちが私に好き勝手言う。

怖かったね、もう大丈夫だから、辛かったでしょう、野蛮な人は居ないからね。

お菓子食べるかい？欲しいものはある？不自由してない？

『どうでもいい、ヴァリアーに帰りたい！興味無い、何もいらないからヴァリアーに帰して！』

また沢田家光に引き摺られて、今度は日本にきた。

ツナさんのお友だちに成るように、奈々さんが寂しく無いように。

奈々さんは「娘が出来たわ！」と言った。

一緒にご飯を作ったり、お掃除したり、お風呂に入ったり、馴染む努力をした。

ツナさんは「俺がお兄ちゃんだよ！」って。

教えを乞い、彼を立てるように、彼に手を貸しながら。

決して辛くは無かった。

二人は泣きそうに成るくらい優しくて、暖かかったから。

だから、今は此処に居たいの。

たとえ必要とされなくても。

まだ、此処に私を置いてください。