夜10:00。遠距離遠征の部隊が帰還するので長屋門まで迎えに行く。遠征に出てくれたのは部隊長の加州君、小狐丸、次郎さん、亀甲さん、山伏さん、同田貫さんの6人。
「たっだいま～。主、迎えありがと。やっぱり俺たち愛されてる！」
加州君に抱きつかれ、小狐丸にもまとわりつかれる。亀甲さんも隙をうかがってる感じだ。苦しい。かわいい。もうダメ。臓器が死ぬ。
「ほ～ら。主苦しんでるよ～。」
次郎さんに救出されてから、皆に傷が無いか確認する。良かった皆無傷。
『夕食は冷蔵庫に入ってるからチンして食べてね。デザートにプリン付いてるのは内緒だよ。お風呂も温めてあるから入ってね。』
加州君から遠征の報告を受けながら本丸に入る。加州君はご飯より先にお風呂に行くようだ。




執務室で政府に送る遠征の報告書をまとめる。2時間位たって、廊下から騒がしい声が聞こえてスパーンッと勢い良く執務室の襖が開かれ、全身に衝撃が走った。
「ぬじざま～。ｽﾞﾋﾞｯ。ぬじざま～ぬじざま！」
ギャン泣きの小狐丸……重い。潰れるから。小狐丸の頭を退いてくれと言う意味を込めてポンポン叩く。一応、体重をかけるのはやめてくれた。
『よしよし。どしたの？ こんな時間に来るのは珍しいし、何かあったんでしょ？』
頭を撫でてやりながら宥めるとグズグスしながらだが教えてくれた。どうにも見習いの草津さんに髪を触られ、櫛でとかされそうになったと。小狐丸がここまで拒否するのは珍しいことじゃない。私以外だとまぁまぁとある。でもここまでぐずらない。本気で嫌だったんだろう。30分くらい頭を撫でて落ち着いてきたらしいので自室の引き出しから、乱ちゃんと買った椿油と櫛を取って来た。それらで小狐丸の髪の手入れをしてやると満足したのか、小狐丸から桜が舞だした。かわいい。