薬売りの少女
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
朝日が上るのを見届け、荷物から出した干し肉をクンネとフレに食わせた。結局2匹とも朝まで起きてたしなぁ。
男の容態を確認しようと顔を覗くと、うっすらと目が開いていた。
『意識あったんですね。少し触りますよ。』
掛けていた着物を捲り、傷口に薬を塗り直し、首に手を当てる。
……暖かい。脈も少し速いがしっかりしてる。
『薪を拾って来ます。私では貴方を動かせないので町から助けを呼んできます。その間貴方は1人で待っててもらうことになりますがいいですね?』
男が小さく頷いたのを見届け、薪を拾いに出た。クンネとフレに男に何か有れば知らせるように言い付け、薪拾いを始めた。
クチャから少し離れた場所で薪を拾ってると人の足跡を見つけた。複数人いる。大きさからして男。アイヌの靴と形が違うからシサムか。ついさっき通ったようだ。クチャの方へ向かっている。念のため弓に手を伸ばし、足跡を追った。
……軍人だ、5人いる。肩に27の刺繍、重傷の男と同じ軍らしい。私の方が男達より高い位置にいるせいで話声を聞くことは出来なかった。
気配を消し、声をかけるタイミングを伺いながら後をつけると、仲間と合流したようだ。1人馬に乗っている。多分1番偉い人だろう。軍人の誰かが1人になってくれると話し掛けやすくて楽なのだが。
悩みながら近づくと、馬に乗ってる人物が知ってる人なことに気付いた。鶴見さんだ。
構えていた弓と取りやすい位置にしまい、近付いた。
『どーも。軍人さん方、少し良いですか?』
岩の上から声をかけると一斉に銃口を向けられた。こっわ。軍隊怖。
「……ふむ。もしや小蝶辺くんかい?」
『ええ!小蝶辺希です。鶴見さん昨日ぶりです。』
鶴見さんが銃口を下ろすように合図してくださり、安心して岩から降りた。
「やはり、アイヌの子だったんだね。いつもの着物も似合っていたが、こちらの服の方がしっくりくる。」
『町では和人の振りをしてますからね。その方が楽なので。』
念のため、両手を上げて鶴見さんに近付いた。
「小蝶辺希と言うのも良い名だが、アイヌの名前はなんと?」
『イレンカです。実はこの後鶴見さんを探しに行くところだったんですよ。』
鶴見さんは顎を軽く触ると馬から降りて、私に視線を合わせた。
『昨日の夕方、川岸で重傷の軍人さんを拾いまして。今は仮小屋で寝かせてるんですが、怪我が酷くて私では動かせないんですよ。』
「それは大変だ。私の部下が何人か行方不明でね。案内してくれるかい?」
ぞくりと背中に冷たい物が流れた気がしたが、鶴見さん一行をクチャに案内した。
着物で繰るんだ男を渡し、男の軍服と傷薬を袋に入れる。
『応急処置はしてますが、顎だけは酷すぎて何もしてません。袋にこの人の服と使った傷薬を入れたので持っていってください。』
いつも鶴見さんの近くにいる仏頂面の部下さんに袋を手渡す。
『えーっと?』
「月島だ。怪我を負ったのは尾形と言う。着物はすまない。弁償させる。」
なるほど月島さんと、尾形さん。
『いえいえ。大丈夫です。昨日、鶴見さんから着物代をいただいてますので。』
「着物代?」
そう言えば昨日の付き添いは月島さんじゃ無かったな。
『昨日、鶴見さんにあの着物を汚されてしまいまして。弁償すると……』
「大丈夫なのか!!嫁入り前だろう!!」
肩を掴まれゆさぶらてる。頭が、頭がぐわんぐわんする。
クンネとフレが間に入ってくれて解放された。
『あー、鶴見さん時々変な汁?出るじゃないですか? それが着物に付いてしまって。弁償してくださると金子を頂きました。』
「成る程。失礼した。」
月島さん結構お堅い人なのか?尾形さん脱がせたの言わない方が良いかな。
「それは別で尾形からも取った方が良い。迷惑料だ。」
見たくない物を見ただろう。と仰っていただいた。金子が貰えるのは嬉しいので有り難く頂戴しよう。
「それから鶴見中尉が、貴女には付いてきて頂きたいと。無論、お礼はすると。」
露骨に嫌なのが顔に出ていたのだろう。お礼かぁ。お礼。部下に何があったかは知りたいよねぇ。私も妹が怪我したら心配だし。
昨日既に薬代合わせて15円ほど頂いているのだ。十分稼げている。帰りが遅くなれば祖母 が心配する。
「町で家族に土産等買ってはどうだ?」
妹 は食いしん坊だし、甘い物を買って帰ったら喜ぶだろうなぁ。フチも目新しいもの好きだし、従妹 も喜ぶよねぇ。
『紙と筆をお借りできます?』
鉛筆と言うのは便利だった。墨をすらなくても書ける。しかも書きやすい。フチは字が読めないので叔父 宛てに町で出稼ぎをして帰るので少し帰りが遅くなると書き、フレの首に括った。
『フレ、お前は先に集落 に帰ってくれ。アチャポに手紙を見せるんだ。頼んだよ。』
フレにコタンに帰る指示をだし、クンネは紐を繋ぎ私と離れないように言い聞かせた。
馬に乗った鶴見さんの後ろを軍人さんに混ざりながら山を降りた。
男の容態を確認しようと顔を覗くと、うっすらと目が開いていた。
『意識あったんですね。少し触りますよ。』
掛けていた着物を捲り、傷口に薬を塗り直し、首に手を当てる。
……暖かい。脈も少し速いがしっかりしてる。
『薪を拾って来ます。私では貴方を動かせないので町から助けを呼んできます。その間貴方は1人で待っててもらうことになりますがいいですね?』
男が小さく頷いたのを見届け、薪を拾いに出た。クンネとフレに男に何か有れば知らせるように言い付け、薪拾いを始めた。
クチャから少し離れた場所で薪を拾ってると人の足跡を見つけた。複数人いる。大きさからして男。アイヌの靴と形が違うからシサムか。ついさっき通ったようだ。クチャの方へ向かっている。念のため弓に手を伸ばし、足跡を追った。
……軍人だ、5人いる。肩に27の刺繍、重傷の男と同じ軍らしい。私の方が男達より高い位置にいるせいで話声を聞くことは出来なかった。
気配を消し、声をかけるタイミングを伺いながら後をつけると、仲間と合流したようだ。1人馬に乗っている。多分1番偉い人だろう。軍人の誰かが1人になってくれると話し掛けやすくて楽なのだが。
悩みながら近づくと、馬に乗ってる人物が知ってる人なことに気付いた。鶴見さんだ。
構えていた弓と取りやすい位置にしまい、近付いた。
『どーも。軍人さん方、少し良いですか?』
岩の上から声をかけると一斉に銃口を向けられた。こっわ。軍隊怖。
「……ふむ。もしや小蝶辺くんかい?」
『ええ!小蝶辺希です。鶴見さん昨日ぶりです。』
鶴見さんが銃口を下ろすように合図してくださり、安心して岩から降りた。
「やはり、アイヌの子だったんだね。いつもの着物も似合っていたが、こちらの服の方がしっくりくる。」
『町では和人の振りをしてますからね。その方が楽なので。』
念のため、両手を上げて鶴見さんに近付いた。
「小蝶辺希と言うのも良い名だが、アイヌの名前はなんと?」
『イレンカです。実はこの後鶴見さんを探しに行くところだったんですよ。』
鶴見さんは顎を軽く触ると馬から降りて、私に視線を合わせた。
『昨日の夕方、川岸で重傷の軍人さんを拾いまして。今は仮小屋で寝かせてるんですが、怪我が酷くて私では動かせないんですよ。』
「それは大変だ。私の部下が何人か行方不明でね。案内してくれるかい?」
ぞくりと背中に冷たい物が流れた気がしたが、鶴見さん一行をクチャに案内した。
着物で繰るんだ男を渡し、男の軍服と傷薬を袋に入れる。
『応急処置はしてますが、顎だけは酷すぎて何もしてません。袋にこの人の服と使った傷薬を入れたので持っていってください。』
いつも鶴見さんの近くにいる仏頂面の部下さんに袋を手渡す。
『えーっと?』
「月島だ。怪我を負ったのは尾形と言う。着物はすまない。弁償させる。」
なるほど月島さんと、尾形さん。
『いえいえ。大丈夫です。昨日、鶴見さんから着物代をいただいてますので。』
「着物代?」
そう言えば昨日の付き添いは月島さんじゃ無かったな。
『昨日、鶴見さんにあの着物を汚されてしまいまして。弁償すると……』
「大丈夫なのか!!嫁入り前だろう!!」
肩を掴まれゆさぶらてる。頭が、頭がぐわんぐわんする。
クンネとフレが間に入ってくれて解放された。
『あー、鶴見さん時々変な汁?出るじゃないですか? それが着物に付いてしまって。弁償してくださると金子を頂きました。』
「成る程。失礼した。」
月島さん結構お堅い人なのか?尾形さん脱がせたの言わない方が良いかな。
「それは別で尾形からも取った方が良い。迷惑料だ。」
見たくない物を見ただろう。と仰っていただいた。金子が貰えるのは嬉しいので有り難く頂戴しよう。
「それから鶴見中尉が、貴女には付いてきて頂きたいと。無論、お礼はすると。」
露骨に嫌なのが顔に出ていたのだろう。お礼かぁ。お礼。部下に何があったかは知りたいよねぇ。私も妹が怪我したら心配だし。
昨日既に薬代合わせて15円ほど頂いているのだ。十分稼げている。帰りが遅くなれば
「町で家族に土産等買ってはどうだ?」
『紙と筆をお借りできます?』
鉛筆と言うのは便利だった。墨をすらなくても書ける。しかも書きやすい。フチは字が読めないので
『フレ、お前は先に
フレにコタンに帰る指示をだし、クンネは紐を繋ぎ私と離れないように言い聞かせた。
馬に乗った鶴見さんの後ろを軍人さんに混ざりながら山を降りた。