薬売りの少女
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
山に入り、汚れた着物を脱いでいつも着ている着物 に着替えた。
やっぱり此方 が落ち着くね。雪の中から顔を出す野草、薬草を採りながら川辺を目指した。
『クンネ、フレ。もう少しで日が暮れる。川辺で夜を越そう。白樺の樹皮 を拾ってくれ。』
2匹が集めてきたシタッを荷袋に入れながら川岸にある仮小屋 を目指した。
クチャは針葉樹で作られた円錐形の短期間の滞在に使う仮小屋だ。中に荷を下ろし川に向かおうと着物を手に取った。
ワン!ワンワン!
クンネが川岸で激しく鳴き始めた。
『どうしたクンネ?』
着物を置いて弓を手に取り、念のため構えながら川岸に近づいた。
……男だ。軍服を着た和人 が岸で倒れていた。川に落ちたのかずぶ濡れで這い出る途中で力尽きたらしく下半身はいまだに川に浸かっている。
『おい!あんた大丈夫か?!』
弓をクンネに持たせ、男を揺すると小さく唸り声を上げた。男の首に触れると脈は驚くほど弱く、体温は低かった。
『ヤバいな。あんた意識をしっかりもてよ!』
男の腕を肩に回した。反対の腕は折れてるようだ。半ば無理やり引き摺りながらクチャに運び込んだ。
急いで火を燃やし、男の服を脱がせる。背中を火に当て暖めながら傷口に売れ残っていた傷薬を塗り、折れていた腕に太い木を当ててやる。幸か不幸か、冷たい川水に晒されていたお陰か出血は酷くない。恐らく化膿もしないだろう。まぁ、寒すぎて死にそうにもなってるが。
全裸の男を見下ろしどうするか考える。恐らく軍人だ。さてどうするか。本当にどうしよう。顎が砕けてるらしく酷く腫れている。顎に関してはどうすることも出来ない。私は薬師であって医師ではない。応急処置しか出来ない。早く医者に見せるべきだ。
ふと、冷静になると重傷とはいえ全裸の男と2人というのは良くない気がしてきた。男から脱がせた軍服は乾かすために枝に掛けてある。生乾きの服を着せれば悪化してしまうだろう。
クーン、クーン。
男を起こさないようにの配慮だろうか、静かに鳴いたフレの方をみると放置していた着物を咥えていた。
『女物だが、悪く思わないで。』
頭から変な汁を流してくる常連に汚された着物だが無いより暖かいだろう。
着物を体が見えないように被せ、私の着ていた毛皮を上から更に重ねた。
うん。よし。全裸よりまし。一応私は嫁入り前の女なのだ。世間体大事。着物は失っても無問題。鶴見さんが着物代くれたし。町に行く以外使わないし。
……クシュン
今度は私が寒いわ。明日この男容態を見てもう一度町へ向かおう。男の軍服には27の刺繍があり、鶴見さんに届ければなんとかなるだろう。確か、鶴見さん27連隊?の師団のお偉いさんらしいし?
町では和人 の振りをしてるから驚かせてしまうだろうか。アイヌだともう薬買ってくれなくなるかなぁ。
あー、でもアイヌなの知ってるぽいんだよな。私の目を見て露系の血筋を当ててたし。
うっすら青いんだよね。よく見るとだけど。妹と同じ、父親の目なのだ!
取り敢えず、男の容態が良ければ鶴見さん探しに町に向かう。重傷の男を連れて山を降りるなんて出来ない。川岸からクチャまでの数間とは話が違う。
火の前に座り、今日採れた野草を種類ごとに分ける。薬に使えるもの、食糧になるもの、毒にして使うもの。火を絶やさないように気を付けながら作業を進めると、フレが私の背に寄り添って丸くなった。幾分か暖かい。ぬくい湯たんぽだ。クンネは周囲を警戒しているらしく、いつでも動ける姿勢で寛いでいた。
男が時おり痛みで唸り声を上げると、クンネもフレも警戒し出すのは少し面白かった。
飼い主思いのワンコで嬉しいよ。でもその軍人さんはとても動けないよ。頼むからお前達は休んでくれ。
やっぱり
『クンネ、フレ。もう少しで日が暮れる。川辺で夜を越そう。
2匹が集めてきたシタッを荷袋に入れながら川岸にある
クチャは針葉樹で作られた円錐形の短期間の滞在に使う仮小屋だ。中に荷を下ろし川に向かおうと着物を手に取った。
ワン!ワンワン!
クンネが川岸で激しく鳴き始めた。
『どうしたクンネ?』
着物を置いて弓を手に取り、念のため構えながら川岸に近づいた。
……男だ。軍服を着た
『おい!あんた大丈夫か?!』
弓をクンネに持たせ、男を揺すると小さく唸り声を上げた。男の首に触れると脈は驚くほど弱く、体温は低かった。
『ヤバいな。あんた意識をしっかりもてよ!』
男の腕を肩に回した。反対の腕は折れてるようだ。半ば無理やり引き摺りながらクチャに運び込んだ。
急いで火を燃やし、男の服を脱がせる。背中を火に当て暖めながら傷口に売れ残っていた傷薬を塗り、折れていた腕に太い木を当ててやる。幸か不幸か、冷たい川水に晒されていたお陰か出血は酷くない。恐らく化膿もしないだろう。まぁ、寒すぎて死にそうにもなってるが。
全裸の男を見下ろしどうするか考える。恐らく軍人だ。さてどうするか。本当にどうしよう。顎が砕けてるらしく酷く腫れている。顎に関してはどうすることも出来ない。私は薬師であって医師ではない。応急処置しか出来ない。早く医者に見せるべきだ。
ふと、冷静になると重傷とはいえ全裸の男と2人というのは良くない気がしてきた。男から脱がせた軍服は乾かすために枝に掛けてある。生乾きの服を着せれば悪化してしまうだろう。
クーン、クーン。
男を起こさないようにの配慮だろうか、静かに鳴いたフレの方をみると放置していた着物を咥えていた。
『女物だが、悪く思わないで。』
頭から変な汁を流してくる常連に汚された着物だが無いより暖かいだろう。
着物を体が見えないように被せ、私の着ていた毛皮を上から更に重ねた。
うん。よし。全裸よりまし。一応私は嫁入り前の女なのだ。世間体大事。着物は失っても無問題。鶴見さんが着物代くれたし。町に行く以外使わないし。
……クシュン
今度は私が寒いわ。明日この男容態を見てもう一度町へ向かおう。男の軍服には27の刺繍があり、鶴見さんに届ければなんとかなるだろう。確か、鶴見さん27連隊?の師団のお偉いさんらしいし?
町では
あー、でもアイヌなの知ってるぽいんだよな。私の目を見て露系の血筋を当ててたし。
うっすら青いんだよね。よく見るとだけど。妹と同じ、父親の目なのだ!
取り敢えず、男の容態が良ければ鶴見さん探しに町に向かう。重傷の男を連れて山を降りるなんて出来ない。川岸からクチャまでの数間とは話が違う。
火の前に座り、今日採れた野草を種類ごとに分ける。薬に使えるもの、食糧になるもの、毒にして使うもの。火を絶やさないように気を付けながら作業を進めると、フレが私の背に寄り添って丸くなった。幾分か暖かい。ぬくい湯たんぽだ。クンネは周囲を警戒しているらしく、いつでも動ける姿勢で寛いでいた。
男が時おり痛みで唸り声を上げると、クンネもフレも警戒し出すのは少し面白かった。
飼い主思いのワンコで嬉しいよ。でもその軍人さんはとても動けないよ。頼むからお前達は休んでくれ。