鳴神国永
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
春は、あけぼの。とはよく言ったものだ。
本丸の庭には霧がかり、朝日が射し込んでいる。吐く息は白く、人の身を得ていることを実感する。
時間は……まだ5時をまわったくらいか。寝起きのままに部屋の襖を開け、庭を見ていたがいつまでもこうしては風邪を引いてしまう。襖を閉め布団を片付けようと目をやると、隣で寝ているはずの弟が居なかった。
……先に起きたのか?
衣紋掛け に内番着が無いのを見るに、鶴丸はもう活動を開始しているようだな。布団も片付けずに何をしてることやら。仕方ない、まとめて片付けるか。
布団を片付け、内番着に腕を通し、身だしなみを整え部屋出る。目指すは厨だ。朝食の下ごしらえでも手伝おう。何しろ90人前の食事を作るのは大変だろうからな。
廊下を歩き進めると、庭に見覚えのある白いのが泥まみれ成りながらに穴を掘っているのが見えた。
見なかったことにしよう。きっと朝の幻覚だ。あの泥まみれの服を誰が洗うと思ってんだ。当番の子に申し訳なくて頼めないよ。毎回俺が別で洗ってんだから。俺が来るまで歌仙殿や燭台切殿にやらせてしまったと思うと頭が上がらない。さぁ早く厨に向かわなくては。歌仙殿達が来る前に米だけでも炊き始めなければ。
……はぁ。
「どうしたんだ兄貴?ため息なんてついて。驚きが足りないのか?」
ため息が漏れていたうえに見つかるとは……。
『次は誰に謝りに行けば良いのか考えていてな。鶴、頼むから悪戯は程々にしてくれ。兄上達にバレれば俺は庇えんぞ。』
「なに、他の兄貴達はまだ来てないんだ。うまく誤魔化すさ。」
まったく、この白いのは。何時か痛い目を見るぞ。平安の頃から何を学んできたのか。
『いいか、朝食の前に風呂に行け。予備の内番着に着替えろ。今着てるのは部屋に置いといてくれ。いいな?それから、今掘ってる穴は誰かに見つかる前に埋めろ。絶対だからな。くれぐれも落とし穴にするな。おい鶴、聞いてるのか?兎に角、俺はちゃんと言ったからな。解ったな鶴丸。』
途中、聞いてるのか解らん態度だったがまぁいいだろう。これで出来て無ければ尻叩きの刑にするしかあるまい。
少し寄り道をしたが厨はまだ誰も来ていなかった。さて、始めるか。大ザルの中に5升分の米を入れて水道で洗う。それを特大の炊飯器に入れてスイッチを入れれば完璧だ。こんのすけ曰く、特殊な品種の米だから吸水の手間は要らないらしいからな。予約機能が炊飯器に着いてないことが悔やまれる。
あぁ、ポットに水を入れないとな。三条派や、平安の生まれの方々は朝一に白湯を飲まれるから。それから味噌汁ようの鍋から煮干を回収しないと。歌仙殿が毎晩水に煮干を浸けて出汁をとってるお陰で味噌汁は絶品だ。出汁をとった後の煮干をフライパンで炒め、醤油、みりん、砂糖で味付けし、ゴマをまぶせばふりかけの完成だ。
「鳴神さんおはよう。今日もお手伝いありがとうね。」
『燭台切殿、おはようございます。お米は準備できてます。今、煮干のふりかけができたところですよ。』
「おや、それは有難いね。」
『歌仙殿もおはようございます。朝餉は何を作る予定ですか?』
2人が起きてきたということは今は6時半くらいか。2人の作る食事は美味しいからな。楽しみだ。
「鳴神、白湯をとってくれるかい?5人分頼むよ。」
振り返ると戦闘着に身を包んだ石切丸様が厨の入り口から、顔を覗かせていた。
『はい石切丸様。少しお待ちください。』
5人分ってことはまだ今剣様当たりが寝ておられるのか?湯呑みにポットからお湯を注ぎ、盆に並べる。
『お待たせしました。朝のお勤め、お疲れ様です。』
「ありがとう鳴神。」
盆を石切丸様に手渡し、朝食の支度に戻った。芋の皮を剥く燭台切殿と変わり、ただひたすらにピーラーを動かす。人参と御坊が控えてるからきんぴらかな。芋は煮付けだと良いな。黙々と作業をすすめ、芋の皮が剥き終わる頃、朝食の当番の子らが来たので後の事はお願いして厨を出た。
部屋に戻り鶴丸の内番着を洗い、大広間の机を拭き、寝坊助な刀達を起こせば、すっかり朝食の時間だった。
大広間では既に配膳が終わっていて皆席に着いていた。弟の隣にすわり、短刀からお茶を受け取る。後は主と寝坊助組が来れば食べれるだろう。
「うおぉ!!!鶴丸ー!また貴様かー!!!」
幻聴では済まされない長谷部殿の雄叫びが聞こえてきた。
……朝の穴か。埋めなかったのか。大人しく言うこと聞いたと思ったらこれか。後で長谷部殿の服も洗わねば。
「鶴丸!貴様いい加減にしろ!何度言えばわかるんだ!」
大広間の入り口には泥まみれの長谷部殿が怒鳴っている。庭からもう着いたのか。速いな。
『……鶴、朝食を終えたら部屋で待ってなさい。もし逃げたら尻叩きの刑では済ましません。逆さにして庭に吊るす。いいな。』
隣に座っている愚弟に脅すように言うと、赤部子の如く頷いていた。
『長谷部殿、弟がすまない。ジャージは俺が洗うから、着替えてきてくれ。あいつには俺から灸を据えておく。』
手拭いを渡し、怒る長谷部殿を見送った。
……結局その日、俺は鶴を逆さに吊るした。
本丸の庭には霧がかり、朝日が射し込んでいる。吐く息は白く、人の身を得ていることを実感する。
時間は……まだ5時をまわったくらいか。寝起きのままに部屋の襖を開け、庭を見ていたがいつまでもこうしては風邪を引いてしまう。襖を閉め布団を片付けようと目をやると、隣で寝ているはずの弟が居なかった。
……先に起きたのか?
布団を片付け、内番着に腕を通し、身だしなみを整え部屋出る。目指すは厨だ。朝食の下ごしらえでも手伝おう。何しろ90人前の食事を作るのは大変だろうからな。
廊下を歩き進めると、庭に見覚えのある白いのが泥まみれ成りながらに穴を掘っているのが見えた。
見なかったことにしよう。きっと朝の幻覚だ。あの泥まみれの服を誰が洗うと思ってんだ。当番の子に申し訳なくて頼めないよ。毎回俺が別で洗ってんだから。俺が来るまで歌仙殿や燭台切殿にやらせてしまったと思うと頭が上がらない。さぁ早く厨に向かわなくては。歌仙殿達が来る前に米だけでも炊き始めなければ。
……はぁ。
「どうしたんだ兄貴?ため息なんてついて。驚きが足りないのか?」
ため息が漏れていたうえに見つかるとは……。
『次は誰に謝りに行けば良いのか考えていてな。鶴、頼むから悪戯は程々にしてくれ。兄上達にバレれば俺は庇えんぞ。』
「なに、他の兄貴達はまだ来てないんだ。うまく誤魔化すさ。」
まったく、この白いのは。何時か痛い目を見るぞ。平安の頃から何を学んできたのか。
『いいか、朝食の前に風呂に行け。予備の内番着に着替えろ。今着てるのは部屋に置いといてくれ。いいな?それから、今掘ってる穴は誰かに見つかる前に埋めろ。絶対だからな。くれぐれも落とし穴にするな。おい鶴、聞いてるのか?兎に角、俺はちゃんと言ったからな。解ったな鶴丸。』
途中、聞いてるのか解らん態度だったがまぁいいだろう。これで出来て無ければ尻叩きの刑にするしかあるまい。
少し寄り道をしたが厨はまだ誰も来ていなかった。さて、始めるか。大ザルの中に5升分の米を入れて水道で洗う。それを特大の炊飯器に入れてスイッチを入れれば完璧だ。こんのすけ曰く、特殊な品種の米だから吸水の手間は要らないらしいからな。予約機能が炊飯器に着いてないことが悔やまれる。
あぁ、ポットに水を入れないとな。三条派や、平安の生まれの方々は朝一に白湯を飲まれるから。それから味噌汁ようの鍋から煮干を回収しないと。歌仙殿が毎晩水に煮干を浸けて出汁をとってるお陰で味噌汁は絶品だ。出汁をとった後の煮干をフライパンで炒め、醤油、みりん、砂糖で味付けし、ゴマをまぶせばふりかけの完成だ。
「鳴神さんおはよう。今日もお手伝いありがとうね。」
『燭台切殿、おはようございます。お米は準備できてます。今、煮干のふりかけができたところですよ。』
「おや、それは有難いね。」
『歌仙殿もおはようございます。朝餉は何を作る予定ですか?』
2人が起きてきたということは今は6時半くらいか。2人の作る食事は美味しいからな。楽しみだ。
「鳴神、白湯をとってくれるかい?5人分頼むよ。」
振り返ると戦闘着に身を包んだ石切丸様が厨の入り口から、顔を覗かせていた。
『はい石切丸様。少しお待ちください。』
5人分ってことはまだ今剣様当たりが寝ておられるのか?湯呑みにポットからお湯を注ぎ、盆に並べる。
『お待たせしました。朝のお勤め、お疲れ様です。』
「ありがとう鳴神。」
盆を石切丸様に手渡し、朝食の支度に戻った。芋の皮を剥く燭台切殿と変わり、ただひたすらにピーラーを動かす。人参と御坊が控えてるからきんぴらかな。芋は煮付けだと良いな。黙々と作業をすすめ、芋の皮が剥き終わる頃、朝食の当番の子らが来たので後の事はお願いして厨を出た。
部屋に戻り鶴丸の内番着を洗い、大広間の机を拭き、寝坊助な刀達を起こせば、すっかり朝食の時間だった。
大広間では既に配膳が終わっていて皆席に着いていた。弟の隣にすわり、短刀からお茶を受け取る。後は主と寝坊助組が来れば食べれるだろう。
「うおぉ!!!鶴丸ー!また貴様かー!!!」
幻聴では済まされない長谷部殿の雄叫びが聞こえてきた。
……朝の穴か。埋めなかったのか。大人しく言うこと聞いたと思ったらこれか。後で長谷部殿の服も洗わねば。
「鶴丸!貴様いい加減にしろ!何度言えばわかるんだ!」
大広間の入り口には泥まみれの長谷部殿が怒鳴っている。庭からもう着いたのか。速いな。
『……鶴、朝食を終えたら部屋で待ってなさい。もし逃げたら尻叩きの刑では済ましません。逆さにして庭に吊るす。いいな。』
隣に座っている愚弟に脅すように言うと、赤部子の如く頷いていた。
『長谷部殿、弟がすまない。ジャージは俺が洗うから、着替えてきてくれ。あいつには俺から灸を据えておく。』
手拭いを渡し、怒る長谷部殿を見送った。
……結局その日、俺は鶴を逆さに吊るした。