逆心の徒
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産まれたばかりの弟を海に流した翌日、俺は弔いの意を込めて花束をこさえて海岸へ向かいました。漁師の話では昨日の夜、沖で嵐があったそうです。赤子達しか乗ってなかった船はきっと容易に転覆したことでしょう。
一応、弔いの為に海岸に行かないかと、兄弟達を誘ったんですが着いてきてくれた兄弟は居ませんでしたね。もし、兄達が一緒だったら話は大きく変わってきたでしょう。
海岸で船の破片を見付けたんです。正直ほっとしました。赤子達は飢えや渇きで苦しむ時間が短くなったでしょうから。花束を海に流し、城に帰ろうとしました。
ですが、見つけてしまったんです。見覚えのある赤い布にくるまれた赤子を。母によく似た、自分と同じ色の金髪の子。名前すら与えられなかった弟でした。せめて埋めてやろうと抱き上げるとまだ息があったんです。泣くことすらできぬほど衰弱していました。
……父や国を思えば見捨てるべきでした。
俺はこの日初めて家族と国、当時まだ遣えていなかった我が王を裏切りました。これが俺が逆心の徒たる由縁です。
俺は兄と色違いの赤いマントで弟を包み、家族の居る城ではなく、王都から少し離れた所に建てた屋敷を目指しました。
屋敷に着くなり医者を呼び弟を診させ、孤児として出生を偽装し、使用人に箝口令を敷きました。
兄に『今回のことで両親を信用出来なくなった。今後自分の屋敷で生活する。公務に支障はきたさない。』という旨の手紙を送りました。そうして、俺は名も無き弟を屋敷に迎え入れたんです。
名も無き弟は衰弱の末、一月程生死を彷徨ったものの回復を果たしました。生きようと懸命な姿に絆された俺は彼を捨てることが出来ず、育てる決意をしました。予言なんてくそ喰らえです。
乳母を雇い、赤子の扱いを学び、使用人や庭師、部下を含め信頼の置ける者以外の出入りを禁じました。そのお陰か公務に城に戻ってもバレてる様子はありませんでした。兄さんは離れて暮らすようになった俺を心配してくれ、一月の間にアグラヴェインとガレスは立ち直れた様で一安心でした。
王宮に通いながら赤子の世話をこなす生活に慣れ、季節は秋を迎えようとしていました。
初めて名も無き弟が笑ったんです。あぁ、守ってやらないとって思ったんですよね。誓いの意味も込めて名前を送ったんです。よくも3ヶ月も名前着けなかったなと。我ながらアホですよね。
弟の名前はモードレッド。この世の全てを裏切っても守ると誓った弟。
一応、弔いの為に海岸に行かないかと、兄弟達を誘ったんですが着いてきてくれた兄弟は居ませんでしたね。もし、兄達が一緒だったら話は大きく変わってきたでしょう。
海岸で船の破片を見付けたんです。正直ほっとしました。赤子達は飢えや渇きで苦しむ時間が短くなったでしょうから。花束を海に流し、城に帰ろうとしました。
ですが、見つけてしまったんです。見覚えのある赤い布にくるまれた赤子を。母によく似た、自分と同じ色の金髪の子。名前すら与えられなかった弟でした。せめて埋めてやろうと抱き上げるとまだ息があったんです。泣くことすらできぬほど衰弱していました。
……父や国を思えば見捨てるべきでした。
俺はこの日初めて家族と国、当時まだ遣えていなかった我が王を裏切りました。これが俺が逆心の徒たる由縁です。
俺は兄と色違いの赤いマントで弟を包み、家族の居る城ではなく、王都から少し離れた所に建てた屋敷を目指しました。
屋敷に着くなり医者を呼び弟を診させ、孤児として出生を偽装し、使用人に箝口令を敷きました。
兄に『今回のことで両親を信用出来なくなった。今後自分の屋敷で生活する。公務に支障はきたさない。』という旨の手紙を送りました。そうして、俺は名も無き弟を屋敷に迎え入れたんです。
名も無き弟は衰弱の末、一月程生死を彷徨ったものの回復を果たしました。生きようと懸命な姿に絆された俺は彼を捨てることが出来ず、育てる決意をしました。予言なんてくそ喰らえです。
乳母を雇い、赤子の扱いを学び、使用人や庭師、部下を含め信頼の置ける者以外の出入りを禁じました。そのお陰か公務に城に戻ってもバレてる様子はありませんでした。兄さんは離れて暮らすようになった俺を心配してくれ、一月の間にアグラヴェインとガレスは立ち直れた様で一安心でした。
王宮に通いながら赤子の世話をこなす生活に慣れ、季節は秋を迎えようとしていました。
初めて名も無き弟が笑ったんです。あぁ、守ってやらないとって思ったんですよね。誓いの意味も込めて名前を送ったんです。よくも3ヶ月も名前着けなかったなと。我ながらアホですよね。
弟の名前はモードレッド。この世の全てを裏切っても守ると誓った弟。