「ここが食堂だよ！」
「先輩！今日のA定食はオムライスみたいですよ！」
年相応にはしゃく少年少女に押されつつ席につく。ギリシャやケルト、日本、様々な英雄達が食事を取ろうと集まっているようだ。
「マスター！今日のデザートはこのガレス特製のカップケーキです！」
聞き覚えのある声がした。視界の隅でカップケーキが宙を舞う。刹那、衝撃。体を支えきれず尻餅をつく。
「ガヘリス兄様～！」
グリグリと小さな頭を腹に押し当てられる。
『久しぶりだな。ガレス。』
「っおぞいでずよ！なんでもっど早く来てくだざらないんですか！」
ああ、表情は見えないが間違いなく半べそかいてるんだろう。泣かせたい訳ではないんだがな。
『あー、悪かったな。鼻水付けんなよ。』
「づけてないです！」
よしよしとガレスの頭を撫でているとマスターが恐る恐る話しかけてきた。
「ガヘリスさんがガレスちゃんのお兄さんなんですか？！」
『あぁ。ロッド王の次男ですから。兄さんガウェイン卿、弟にアグラヴェイン卿、妹にガレス、父違いの末弟にモードレッドです。』
「まじで！これで円卓兄弟揃ったじゃん！」
「そうだ！急いで兄様たちを呼んできます！」
俺の上に乗っていたガレスはいってきます！と跳ね起きてそのまま食堂を飛び出していってしまった。
『マスター達はお腹空いてるでしょう？先に食事にしてください。』
「しかし、良いんですか？」
起き上がり汚れを払いながら声をかけるとキリエライトが反応してきたが問題無いだろう。
『俺はともかく、マスターとキリエライトは食べれる内に食べた方がいいでしょう。俺に付き合うと長くなりそうですよ。』
なんてったって、心配性の兄さんと堅物の弟、駄々っ子の末弟がこれからくるのだ。バレた以上、元同僚に我が王にも挨拶をしなければならない。最悪なことに母上（クソババア）にも会わねばならないだろう。
つか、なんでババアが居るんだよ。百歩譲って、アグラヴェインが居るのは解る。気まずくないのかよ。俺は気まずい。ただでさえ我が王や元同僚、兄上達に会わす顔ないのに。