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雨音



恋なんてしないって思ってた。私には関係ないって、そう信じていた。
でも、その瞬間はある日突然訪れる。

「うわっ、雨。もう寝れちゃう」

カバンを頭に置き、走ってその場から離れる。土砂降りの中、周りの雑音は消え雨音が聞こえる。

「コンビニで雨宿りしようっ!」

少し透けた服が恥ずかしくて、しかも肌に水がベットリついて、嫌になる。

「はぁ、今日ついてない」

そう口にして、コンビニに着くとそこにはもう一人雨宿りしている人がいた。スーツ姿の男性で目元にほくろがあった。

(同じ仲間だなぁ)

親近感に湧き、のほほんと考えていると、彼はこちらに気づいたのか歩いてくる。

(待って待って待って、なんでこっちにくるの?あ!お店の中に入りたいとか?)

そんなことを考えていると、彼はこちらを向いた。

「肌着すけてるし、風邪引くぞ」

「え、え、え!?」

突然の言葉に私は後ろに下がった。すると彼は上着を脱いで私にかけてくれた。

「ありがとうございます。えっと、この上着いつ返したらいいですか?」

「うーん、いつでもいいべ」

黒子の彼は歩いていく。年齢からしておそらく、年上の人だろうか?まるで爽やか青年の様にも見えた。 
私は良くわからないまま、立ち尽くす。風が雨と共に私の足にあたる。冷たさで正気になるも、やはりどことなくぼんやりする。
この気持ちの正体はなんなのかわからないが上着の当たっている場所は暖かくいつもより熱を感じた。
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