座敷童子の紅子さん


時間短縮の為、学校から妖術で近くまで繋げてから山の上を目指す。
本当はそのまま直通で本殿に繋いだほうが圧倒的に早いのだが、神主がドアの前で正座してマラカス持って出待ちしてた時から直通で繋ぐのはやめた。

本当にめっちゃ怖いから毎回みんなで歓迎の舞みたいなのやるのもやめてほしい…
年1の祭りの時もドンチャン騒ぎするのに毎月騒ぎ起こさないでくれないかな本当。
その奇行のせいでネットでうちの神社が変な奴らの留置所扱いされてるのも知ってるんだからな!
神主に関しては一族みんながなんか変だし、巫女達の中には神主一族の娘も何人かいて、それに感化されてるのか洗脳されてるのか他の巫女達と徒党を組んでる。
おかしいよなぁ。数百年前に拾った時は普通の人間達だったのに、いつの間にか一族総出で癖が強くなっちゃって…

まぁ真正面から入ると神主の手下と化してる巫女達にバレるので裏からコソコソと本殿に入るのだが…

「私ぃーお帰りー!」
「しーッッ」

気配で気がついてバタバタと巫女装束で走ってくるもう一人の自分の口を慌てて塞ぎ、巫女や神主が周りにいないか周りを確認してから手を離す。

「何?どうしたの私」
「今日は本当に早く帰りたいの!紅子ちゃんが心配だから!」
「マ?紅子ちゃんなんかあったん?」
「あ、いーよいーよ記憶の共有で見るから」なんて言う依代に妖力と神力とをぶち込んで作った私の分身は最初はもっと機械的な性格だったのだが、いつの間にかこうなってた。

「てか、何で巫女装束着てんの私。いつもの着物はどうした」

おかげで巫女に見つかったかと思ってヒュッてしたじゃん。

「いやー池で釣りしながら寝ちゃって落っこちたんだよねぇ。着物は今洗濯してる」

我が分身ながらにアホなんじゃないかこいつと思うことがたまにある。
やはり長く1つの式を使うのはよくないのだろうか。
性格もオリジナルの私と何か違うし。チャラいと言うか軽いと言うか…

「ま、さっさと情報共有するべ?」

「はい、うぇーい」なんて両手をあげる私のハイタッチして1ヶ月分の情報共有を行う。
マジで池に落ちてやがるよコイツ。

「あー!!!!稲荷様!!!!」

げぇ見つかった!

「誰か神主様をお呼びしてー!!!」

やめろやめろ!あいつを呼ぶんじゃない!
私は慌てて獣姿に化けると空に飛んで逃げた。
早く帰るためだけに授業サボってまで時間を一時間ずらしたのにここで捕まったら台無しになる。

「まーたねー」

下で呑気に両手を振る自分と取り逃したことにショック受けてる神主に笑ってさっさと繋いであるドアまで飛んだ。

久々に捕まらずに済んだのですごく気分がいい!捕まれば夜までコース確定なので本当に捕まりたくなかったのだ。
今日は紅子ちゃんと鍋パの約束をしているので急いで材料を買って帰らないとね!


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