座敷童子の紅子さん
「クラス写真?」
「うん…ゼェ…新学期…だからね…明日三時間目…ハァ…クラス写真…ふぅ撮るからね…おう…っ」
朝っぱらから全力ダッシュで走ったらしい晴明は「だから明日の三時間目は授業ないよ」とぜーはーしながら黒板に明日の予定を書く。
「で、何でそんなに疲れてんの?」
「ちょっと走って一階まで…プリントをね…」
六階やぞここ。
「じゃあ明日は気合い入れて髪セットしねーと…」
「新しく顔(?)新調しよう」
「昨日買った新色シャドー使おっと」
写真を撮ると聞いてそわそわとしだす生徒達ち晴明が待ったをかける。
「それは無駄だよ。生徒指導の先生方も霧吹きとクレンジング持って待機するってさ…」
クレンジングはわかるけど霧吹きなんに使うんだろ。
「いや、小田原君。君の顔は新調してもいいんじゃないかな」
「それで誰かこの事を座敷童子の座敷紅子さんに伝えてほしいんだ。ほら、座敷さん新学期から一回も登校してないでしょ?」
確かに紅子ちゃんは一回も学校に来てない。
何なら寮からも出てこないくらい念入りに引きこもってる。
「新学期どころか一年の冬から来てねーんだぜアイツ。クラス写真くらいでくるとはおもえねーよ。」
泥田が「俺が連絡きてもいいけど」なんて気まずそうな顔で言う。
「まぁ、お前のせいだけどな」
「だから悪かったって!」
「もしかして泥田君達、座敷さんが来ない理由知ってるの…?」
「なんか他の先生もみんな知らないらしくて…」なんて言う晴明に泥田がバツが悪そうに顔を逸らした。
「あ…アイツが不登校になったの俺のせいみたいでよ…」
回想
「オイ座敷!」
「何だよ泥田」
「そのゲーム超面白いんだけど、お前もやってみねぇ?で、今度対戦しよーぜ!」
「マジで?借りる借りる」
翌日
「何…一晩でクリアしたの?」
「面白くてつい…買おうかな…」
「あっ、だったら来週続編出るからそっち買えよ!で、感想教えて♡」
「マジかよ…!!」
「そこからあれよあれよとゲーマーになって、気がつきゃ昼夜逆転して朝起きられなくなってよぉ…」
まぁ本当は朝までゲームしてて、弁当もらったら寝るが正解だけどね。
放課後、買い物して帰る頃には起きてまたゲームしてる紅子ちゃんをお風呂に突っ込んで、その間に軽く片付けてご飯作って食べさせて軽く勉強させてからまたゲーム。うん、ゲームばっかりだな。
「…と、言うわけで今は女子寮に引きこもってる」
(((くっっっっだらね!!!)))
「な?コイツのせいだろ?」と手を合わせて謝る泥田を軽く睨んでいれば「だから空狐ちゃん泥たんにだけやたらと当たりが強かったんだね」いつの間にか隣に来てた豆が机に頬杖をついて言う。
去年初めほどの泥田に関しては初めは紅子ちゃんのオマケってくらいの認識しかなかったからなぁ。
「初めは好き嫌い以前に興味なかったから」と言えば、佐野が「ただ嫌われてるだけだと思ってた」としれっと言い、泥田は「それはそれでヒデェよ!!」と泣く。
「じゃ…じゃあ僕が放課後一度会いに行ってみるよ」
「はぁ?」
「空狐ちゃんガラ悪いよ…」
悪くもなるだろ。何つったあの変態教師。
「お前に何とかできたら誰も苦労しねーよ」
「頑張って説得してみせるよ!!僕は素敵な先生だからね!!!」
「あーあ…自分で素敵な先生って言い始めたよ…」
「う…うん。誰も言ってくれないから自分で言うことにした…」
虚しいこと言ってる晴明を睨んでいれば豆が「空狐ちゃんはどうするの?今日はあの日でしょ?」と見上げてくる。
「…」
そう、今日はよりにもよってあの日なのだ。
おそらく帰れるのは夜になってしまうだろう。
「なんかあったっけ?」なんて言うアホの泥田に豆が「ほら、月に一度のアレの日だよ」と教えてやる。
「あぁ、定時連絡とか言う強制帰宅…」
「あ!山にある実家に帰る日か!」
「…直ぐに戻るし」
必要なのは向こうの自分との定期連絡だけだし、何なら一瞬で終わらせられる事だし神主に見つからずにさっさと終わらせて帰れば…
しかし豆が「でも、どうせ祭り上げられて数時間は帰れないだろうし紅子ちゃんの事心配でしょ?」と痛いところを突いてくる。
「そりゃあ!…うぐぐぐ!人間教師めッ紅ちゃんに何かしたらタダじゃおかないからな!!!」
「俺も用事あるんだよなぁ…なけりゃあ晴明についてってやれるんだけど…」
「そうだ!俺と佐野君でついて行って見張ってあげる!で、すぐに帰るようにさせるよ!ね?佐野君」
「面白そうな物見れそうだしいいぞ」
こうして豆と佐野のおつかいが決まった。