波乱万丈な体育祭!
《さて、各自お題に苦戦しているようですが結果はどーなる!!》
「とは言ってもみんなもうアンカーに回ってんぞ…!!座敷の奴大丈夫か!?」
つーか、他のクラスのツチノコとかネッシーとかって何なんだよ!借りさせる気ないだろこれ考えた奴!
「泥田ァ!!待たせたな!!」
「座しー…!」
「持ってきたぞ!!聖剣エクスカリバー!!」とデカい剣の先を俺に向けながら走ってくる紅子に「べ…っ紅子ちゃん!!??」と慌てて体を泥にして避ける。
マジであっぶねぇ!!
「寮まで取りに行ってた」
「所有物なの!?」
何でそんなの持ってるんだよ!!
「昔、火山の火口に取りに行ったのがこんなところで役に立つとはな…武器屋に売れば100ポコで買い取ってくれるぞ!」
「何処の通貨単位だよ!」
「いいから早よいけ!!おらタスキ!!最下位だったらテメェがこの聖剣の最初の餌だァ!!」
「そはもはや聖剣って言うより魔剣じゃねーかァ!!」と剣で追い立てられ泥田坊の姿になって滑るように逃げる。
ボックスの前、人型になりながら箱に手を突っ込んで適当な紙を引っ張り出した。
他のアンカーたちも苦戦している!
密かに好きな子ーとかそんなんじゃなきゃ勝てー…
余裕ぶっこいて引いた紙に書いてあったのは密かに嫌いなクラスメイト。
俺の中の時が止まった。
う…嘘ォ〜ん…
「泥田のやつ完全に動きがとまったぞ!?」
「何やってんだ!走れ耕太郎!!」
観戦席から狢のヤジが飛ぶが頭を抱えた俺は冷や汗をダラダラと流しながら歯を食いしばる。
ふっざけんなよ!誰だよこんな友達関係に溝作るようなお題考えた奴は!!!
俺はそいつが嫌いだよ!!!
いや、文句を言っている場合じゃない!
考えろ…考えるんだ耕太郎!!
…ここは消去法だ!
まず女子は論外だ!誰を連れて行っても次の日から徒党組んで敵になるのが目に見えているッ
万が一にでも大衆の前で泣かせてみようものなら…世に存在するありとあらゆる罵倒をあびせかけられるだろう…!
では座敷はどうだ!?女子だが稲荷以外の女子とはほとんど連まない!
奴とは赤子の頃からの付き合いだ、事情もきっとわかってくれるはず!!
しかし!幼馴染ゆえ、やつは俺の家族とも親交がある…これがもし俺の母と姉の耳に入ったら…
駄目だぁ!!結局同じような罵りを受ける!!!
というかそんな事が稲荷にバレてみろ…今度こそ殺されるぞ!!
かと言って豆と佐野は論外!いや、普通に嫌われたくないからな…
寮で同室の入道に嫌われたら…この後の日常生活に支障をきたす!…あのトリオも却下だ!!
あ〜…うん。ぶっちゃけ他のクラスメイトはよく知らねぇわ!!!
ちくしょう!何で俺の周りにはいい奴しか居ないんだ!!
グシャリとお題の紙を握りしめて涙を流していれば「チンタラしてんじゃねーぞ泥田ァ!!」とヤジを飛ばす紅子の隣、「泥たーん!がんばれー!!」とぴょんぴょん跳ねながら応援してくれている豆が持っている紙屑が目についた。
あの紙は…もしや!!
「豆ー!!さっき佐野を連れてゴールしてたけど!お題は何だったァ!?」
「えー?親友だよー!!」
それだぁ!!!
走り出した俺はそのままスライドで両膝をついてで豆の前に手を合わせる。
「頼む!!何も言わずにその手に持ってる紙を俺にくれ!!!」
「え?このゴミ?別にいいけど…」
「サンキュー!!」
こうなりゃセコイけどお題を偽装するしかない!!
あとはこの場にいない奴を…
「なあ佐野は!?」
「佐野君ならお手洗いに行ったよ!!校舎裏の所〜!」
「よっしゃ!!!助かった!!!」
「佐野ぉ〜!!!」と男子トイレに駆け込めば丁度用を足し終えたらしい佐野がビクッと飛び跳ねる。
「頼む佐野!ちょっと借りられてくれ!!」
「ハァ!?また俺かよ!!一体なんてお題…」
あぁもう!時間がねぇ!!
俺は佐野を脇に抱えて走り出す。ごめん!ちょっと足引きずるかも!!
「説明は後だ!!!とにかく来い!!」
「バッ…!!待っ手くらい洗わせろ!!」
「それも後だ!!!」
校庭に出れば他のクラスのアンカーが前を走っているのが見える。てか、ツチノコ居たのかよ!?
「させるかよ!!」
《赤のハチマキ!参組のアンカーが帰ってきた〜!!》
《頑張って!!前の子抜いたら一位だよ!!》《ちょっとマイク奪わんといて!》
晴明の言葉に俄然やる気が出たね!
俺は何故か持ってるウエットで手を拭いてる佐野を抱え直して更にスピードを上げた。
「ッシャー!!!疾風の泥団子と呼ばれたこの泥田耕太郎を舐めんじゃねぇ!!」
「そんなダサい異名で呼ばれてたのか」
「今つけた!!」
そしてゴールスレスレですれ違い…
《抜いたー!!参組一位でゴール!!!》
「ッシャー!!!サンキュー佐野!!!」
「へいへい」
いやぁマジでギリギリだったぜ。もう少し遅かったら抜かせなかったな。
佐野と勝利を噛み締めているとテントから晴明の声が…
「泥田くぅぅううん!!!」
「ギャッ!!等速直線運動で来やがったぞコイツ!!!」
凄いスピードで突っ込んで来やがったなコイツ…
「凄い凄いよ!!やったね!!」
とはいえ、褒められて悪い気はしないぜ!
「って言うかお題見してよ。間違ってたらどうすんだ」
「お、おう!そうだな!!」
俺はポケットに突っ込んでいたお題の紙を引っ張り出す。
「へへ…なんか、面と向かって言うのは照れるな…」
そして照れて鼻の下を指で擦りながらグシャグシャの紙をピラリと摘んで佐野たちに見せる。
すると何故か空気が凍った。
「ん?」
固まる佐野たちに紙をひっくり返して見ればそこには密かに好きなひとの文字が…
う…嘘ォ〜ん!!?
な、な、何じゃこりゃあ!!!
親友ってお題じゃねぇのかよ!!!
「キャー!大変だ大変だ!!ハレンチや!!」と騒ぎ立てる晴明は佐野に八つ当たりされてテントに突き刺さった。
だが、何とか誤解を解かなくては!!
「ちが…っ佐野!これは何かの間違いだ!!」
「わはは、この紙め食べちゃうぞ!!!」と紙をむしゃむしゃと口に詰め込むが佐野の暗い表情は変わらない。
マジでどうすんだこれ!!
「泥田…」
「悪い泥田、友達でいようぜ…」
「そ…それじゃ…」と青い顔で逃げていく佐野に「ち…違…っ」と手を伸ばす。
「え〜っと…ド、ドンマイ?」
「違うっつてんだろ!!!どう足掻いてもこうなる気はしてたよチクショー!!」
どの道友情に亀裂が生まれちまったじゃねーか!!!
2/2ページ
