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レッツ・体育祭の準備!


俺は蓮浄さんに髪を梳かしてもらっている稲荷さんを見ながら頭を抱えていた。

「どうするんだよ!校庭に着いちまったじゃねぇか!!」
「ごめんな藤平。わざわざ手伝ってくれたのに…」

「座敷さんが居ないからいけると思ったんだけどなぁ」としょげている前田。それは俺も思った。

「いやでも、そうだよな。蓮浄さんとも仲良かったもんな稲荷さんって…」

正直言って話しかけずらい。稲荷さんが1人ならと思ったが、まさか蓮浄さんにくっついて行ってしまうとは想定外だった。
まだこれが歌川さんなら自然に会話に入れるけど蓮浄さんはなぁ。なんかツンとしてて話に入りずらいんだよな。
とは言え、ここで諦めるわけにはいかねぇ。
俺は「前田!」と萎びている前田の両肩を掴かんで目を合わす。

「いいか?俺が蓮浄さんと作業できるように誘い出すからお前は何としてでも稲荷さんと作業できるように頼め!」
「でも、稲荷さん俺と話す時は意識飛んでることの方が多いんだぜ?まともに会話できるかどうか…」

そうだな。いつもそれで座敷さんに横から掻っ攫われてるもんな!だがそれに甘んじていればいつまでたっても進展しないまま卒業になるぞ!

「だからこその作業という動作を挟んで脳のリソースをお前だけにならないようにするんだ!後近すぎず、急に背後から話しかけない!ゆっくり前から近づいて意識飛ばしそうになったら距離を取る!!できるな!?」
「お、おう…」

じゃっかん前田に引いてる気がするが関係ねぇ!去年は影から応援していたが、それじゃあダメだと気がついたんだ!だって俺が頑張らないと、こいつら一生くっつかねぇ!!

「俺そんなに急に話しかけてるか?」
なんだ、自覚なかったのか?

「大体背後から話しかけてるぞ?見てた感じだと、先に認識されてる状態で話しかけた時は多少会話が成立している。だが背後なんかの視覚外から話しかけるとぼぼ初手で会話になってなかった」
「気づいてたなら教えてくれよ…」
「いや、わざとやってるのかと思ってたわ」
理由ないなら逆に何でわざわざ背後から話しかけてたんだ?

「距離をとるってどれくらい離ればいいと思う?」
「うーん、お前は割と距離が近いからなぁ。とりあえず2人分くらい距離を空けて見たらどうだ?大丈夫そうなら1人分詰めてみるとか」
「じゃあ何を話せば…」
「どうした前田!大丈夫か前田!?」

話しかける前から緊張してどうする!!本人が前にすら居ないのにそれじゃあ持たないぞ!!

「いや、思えばまともに話すことがあまりにも無いから何を話題にすればいいのか」
「だからって間違っても座敷さんの話題振るなよ?そうだなぁ。普通に体育祭楽しみだね的な…」
俺はそこまで言って「あれ?」と首を傾げる。

「そう言えば、稲荷さんって確か今年の体育祭出ないとか言ってなかったか?」
「うん、応援にまわるって聞いたよ。何でも学園長直々に頼まれたんだって」
「去年……凄かったもんな…」

俺と前田は去年の体育祭を思い出して苦笑いする。あれはまさに地獄絵図ってやつだった。
つまりまぁ、去年の事を考えると応援とか言ってるが事実上の出禁ってやつなんだろう。

「よし、体育祭の話題はやめよう。誰も幸せになれない話になる可能性が高い」
「そうだな…それにしても女子にする話題かぁ」
「しかも、女子は女子でも稲荷さんだからな?そこらの女子と感性が違うからどうすればいいか…って!まずいぞ前田!」

ふと見ればもうテントを組み立てに入っている参組のメンツ達。
俺らが話してる間に作業がかなり進んでる!!

「太田が居るから組み立てるのも早いんだ!急げ前田ァ!もうぶっつけ本番で行くしかねぇ!!」
「えぇ〜!?」

俺は前田の腕を掴んで救護と書かれたテントを張ろうとしている稲荷さんたちのところに走った。









その頃、人面岩準備班はというとー

「見つけた!!こんな所に人面植物が!!」と地面に手をついてマンドラゴラを地面から毟るように引っこ抜いている座敷。
「ハハハ食え!!みんな食っちまえ!!」と笑ってない目で笑いながらマンドラゴラの葉を握る入道。
「バリムシャッ!!」とマンドラゴラに噛みつく猫姿の秋雨。
「ちょっとみんなしっかりして〜!」と入道を止めようとしがみついて泣き叫ぶ歌川と現場はカオスを極めている。
彼らは暑さと人面岩が見つからないイラだちで見事に錯乱していたのだ。


「もう帰ろっ人面岩はもういいよぉ〜」
歌川は錯乱している三人を説得する為にも「ねぇ泥田君!!」と唯一腕を組んで立っていた泥田に同意を求めるように振り向いた。
しかし、遠くを見ていた泥田は「歌川ちゃん。俺、さっきから思ってたんだけどさ」と真剣な顔で不穏な事を言い出す。



「帰り道ってどっちだっけ…?」

その言葉を聞いて入道の口からポロリとマンドラゴラが転がり落ちる。
5人の遭難が決定した瞬間だった。




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